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コラム「参列したら神葬祭だった」

友人知人、取引先のお葬式に参列してみたら、神葬祭であることをその場で知る、という経験はないでしょうか? これだけは忘れないようにと持ってきた数珠も必要なくなり、見慣れない神葬祭に緊張が一気に高まります。遺族として神葬祭を出す流れや詳細の説明は、いろんな葬儀屋さんのHPに載っているので、そちらを参考にしていただいて、このコラムでは「参列したら神葬祭だった」というテーマで解説してみたいと思います。

 

最初に問題となるのはお香典です。いえ、お香典の中身は問題ではなく、表書が仏式と神式では違ってきます。仏式の一般的な表書きは「御霊前」と「御香典」だと思います。浄土真宗では霊を認めないので「御仏前」か「御香典」とします。なので、仏式の場合は「御香典」にしておくと無難です。神葬祭の場合は「御霊前」か「玉串料」が一般的です。問題は表書きでも、重要なのは中身ですし、知らなかったのは当然ですから、違っていても気にしないで良いと思います。ちなみに「ご愁傷様です」というのも、神道の葬儀では使いません。声をかけるときには違う言葉にしましょう。神道では亡くなると神様になるので、そこまで悲嘆に暮れるような言葉は使いません。でも、これも遺族を想っての言葉なので、宗派が変わっても気持ちは変わらないでしょうから、気にしないで良いと思います。

式場の入口に手水桶が置かれて、手水の儀を行うことがあります。これは、簡略化が進んでいる東京ではほとんど見かけなくなってしまいました。神社にお参りするときと同じ要領で、柄杓に水を汲んで、左手右手、口元と清めて式場に入ります。おそらくこれまで150〜200回ほどの神葬祭を経験しましたが、手水の儀をしたのは2回だけですので、まずお目にかかることはないと思います。

神葬祭の葬儀では、玉串奉奠以外にも参加しなければならない儀式があります。参加といっても、立ったり座ったり礼をしたりという程度です。礼をすることを「低頭(ていとう)」と言いますので、司会者や神職さんが「ご低頭ください」と言ったら頭を下げて、下げた位置で止めます。地域や神社によって様々に異なりますが、私が経験してきた中で一般的と思われる流れを簡単に説明しますね。

 

通夜は通夜祭と言います。「遷霊の儀」を行うので、遷霊祭とも言います。

【斎主、斎員入場・開式の辞】  初めに雅楽が流れる中、斎主、斎員が入場します。斎主は儀式を執り行う神職で、斎員は補助役の神職です、起立低頭して迎えたり、座ったまま迎えたり、司会者が促してくれます。司会者が開式の辞を述べ、儀式が始まります。

【修祓(しゅばつ)の儀】  神職が「祓い詞(はらいことば)」を奏上し、式場内を順番にお祓いしていきます。大きな榊を持ってバッサバッサと振るヤツです。最後に参列者をお祓いするので、その時は低頭します。

【斎主一拝】  斎主が霊前に一礼する儀式があります。ただ見ているだけの場合もあり、起立して斎主に合わせて一緒に拝礼する場合もあります。

【献饌の儀】  神職が霊前に饌を捧げる儀式があります。これは見ているだけです。饌(せん)というのは、神様への捧げもの(主に食べ物)のことです。

【遷霊の儀】  霊璽(れいじ)という仏教の位牌のようなものに、故人の魂を遷す儀式で、通夜祭のメインイベントです。式場内の明かりを消して真っ暗な状態で、神職さんが警蹕(けいひつ)を行います。「うぉぉぉぉー」と声を上げるものです。おそらく座ったまま見ているだけです。まぁ、真っ暗で見えませんが。式場の明かりが点くと、斎主が遷霊祭詞を奏上します。聞いているだけか、祭詞奏上の間だけ低頭するかです。

玉串奉奠】  喪主、遺族、親族、一般会葬者の順に係員の案内のもと玉串奉奠します。おそらく、式場の受付などで玉串奉奠の作法を書いた看板が立っていたり、プリントが配られていたりすると思います。玉串奉奠の作法は、神職さんによっても、葬儀社さんによっても、会葬規模によっても微妙に変わってくると思います、周囲の方々を参考にしていただければと思います。

一般的な作法のひとつを書くと、神職さんから玉串を渡される時は、自分から見て根元が右、葉が左に渡されます。根元部分を右手で上から摘むように持ち、葉の部分を左手で下から支えるように持ちます。頂いた玉串は仰々しく掲げなくても構いませんが、ベルトラインよりは上で持つようにしましょう。玉串案(玉串奉奠をする台)の前に来たら、遺族へ一礼します。神前に向かい、右手で根元を摘み左手で葉を支えたまま、右手を引き左手を押し、玉串を90度時計回りに回します。根元が自分の方を向いている状態になります。次は、左手で根元を摘み、右手で葉の部分を支えます。左右の手を入れ替えた感じですね。そして、また、右手を引き左手を押し、玉串を今度は180度時計回りに回転させながら玉串案の上に根元を神前に向けて起きます。姿勢を正し、腰を折って深く二礼します。次に音を立てずに柏手を二回打ちます。手を合わせる時は指の第一関節分ずらして合わせます。左手が飛び出てる感じです。2回目の柏手で手を合わせたまま、故人へ気持ちを込めて念じます。また神前に深く一礼します。最後に遺族に一礼し、自席へ戻ります。

遺族から会食の席が用意されている場合は、係員の誘導のもと式場を出て、時間があれば会食会場へ向かいます。ちなみにこの会食は一般的に仏教では「お清め」と言います。死を穢れとしない浄土真宗では「御斎(おとき)」と言い、神道では「直会(なおらい)」と言います。

式場では会葬者の玉串奉奠が終了したら、10分ほどで通夜の儀礼は終了します。

仏式での告別式は、神道では葬場祭と言います。献饌の儀までの式の流れは通夜祭と同じです。遷霊の儀は葬場祭にはありません。献饌の儀の次から説明しますね。

【祭詞奏上】  斎主が葬場祭詞を奏上します。【玉奉菶奠】 喪主から順に玉串を奉奠し、拝礼を行います。終わったら自席へ戻ります。

【撤饌の儀】  神職が神前に捧げた饌を撤します。座って見ているだけで大丈夫です。

【斎主一拝】  これは式の最初の方に行ったものと同様です。最初と最後に一拝するんですね。

【斎主、斎員退下】  雅楽が流れ、斎主、斎員が退場します。

以上で葬場祭の儀礼は終了になります。ここから先は使われる言葉の言い回しなどが多少変わる程度で、仏式の葬儀とほぼ同じです。

仏教に諸宗派があるように、神道にも様々な系統があり、新興宗教も存在します。それぞれ独自の葬送方式がありますが、そのような葬儀に参列し、何をどうして良いかわからない場合は、葬儀社さんに聞くというのが、最も簡単で確実な方法です。突然神葬祭に参列することになるとびっくりすると思いますが、玉串奉奠の作法だけなんとなく覚えておけば、たいして緊張することなく終えられると思います。