寺社探訪

寺社探訪とコラム

「みたままつりに行く」

f:id:salicat:20210717013841j:plainコロナ禍で都内のお祭りはどこも軒並み中止ですが、靖国神社は今年「みたままつり」を行うことを発表しました。また開催日が近づいてきたら中止になるのでは? と注目していたら、開催期間と開催時間を延長して、人手を分散させつつ行うことになりました。お神輿や出店は中止で、飲酒も不可です。余興的なイベントもなく、提灯飾りと神事のみですが、久々に一般参加できる大きなお祭りです。私はお祭り好きという訳ではないのですが、その心意気に動かされ、久々にみたままつりにいきました。

f:id:salicat:20210717014032j:plain私の両親は新興宗教の信者で、当然私もそのように育てられたのですが、反動なのか、自由な(いい加減な)信仰心の大人になっていました。そんな私が初めて自分から入会した宗教関連組織が、靖国神社の崇敬奉賛会でした。当時(20年ほど前)は、小林よしのりゴーマニズム宣言戦争論を読んで、先の大戦、特に特攻隊に興味を持つようになりました。たくさん本を読んだり、DVDや写真集まで買っていたような……。そんな私が靖国神社を訪れたのも、奉賛会に入会したのも、自然な流れでしたが、初めて訪れた時は衝撃的でした。

f:id:salicat:20210717014055j:plain当時はまだ戦争を経験した方々が多く存命で、みたままつりに集まっていました。軍服を着て、ハーモニカで軍歌を演奏している人もいて、全国から遺族会や同期会の方々が観光バスで訪れていました。彼らの肉親や生死を共にした仲間が、死んだら靖国に祀られて、家族や仲間が会いに来てくれる、そう信じていたのですから、皆さんお祭りというより、懐かしい人に会いに来る感覚なのかもしれませんね。。

戦争は絶対反対で、戦争中の行動は全て悪行で全否定されるべきという社会通念があると思います。そんな中、治外法権的に軍服を着て闊歩したり、軍歌を歌ったりできるのは、ここしかない。隣国から圧力がかかる神社ですが、この国のために命を懸けた人たちのために、いつまでも神域であってほしい。というのが、奉賛会に入会した理由です。

その時も昇殿参拝をしました。今と同じように受付を済ませて待合所で待つシステムだったのですが、当時はそこに花嫁人形が展示されていました。展示しきれないくらい、所狭しと、たくさんの花嫁人形が飾られていました。文章で理解していたことを、目の当たりにしたのです。こんな悲しいことが……。人形ケースに、花婿として添えられている写真は、本当に若くて清潔な顔をしていました。参拝する前に泣きそうになってしまいました。

f:id:salicat:20210717014159j:plain久しぶりに訪れたので、いつから始まったのかわかりませんが、夜間中庭参拝というのが行われていました。説明によると、拝殿と本殿の間の中庭に神職さんと共に行って、そこで本殿に向かって屋外からお参りするというものだそうで、ひとり千円以上奉納してくださいとのことでした。夜間と言っても7月なのですごく日が長いですから、暗くなる前から始まっていて、そこそこ受付も賑わってました。

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私は今回も昇殿参拝をするつもりで、待合所を覗いてみたら、結構な人数の方が待っていました。私は予定どおり先に遊就館を見学することにしました。実は先に参拝を済ませてから遊就館を見学するというのが、靖国神社の推奨コースで、参拝の受付で遊就館の半額入場券をもらえます。ただ、私としては、先に遊就館を見学して、戦没者の方々への感謝の念を高めてからお参りしたいのです。

20年ほど前に初めて訪れて以来、身近な人を誘って何年か連続でみたままつりに行っていました。一緒に行った人は、私がいろいろ言わなくても、何かしらを感じ取って、考え、悩み、答えを求めていました。中には「戦争を美化している」と怒りだす人もいました。怒るくらい真剣に向き合ってくれて、私としては連れていった甲斐があるというものです。

f:id:salicat:20210717014411j:plain遊就館を見学して、最後の方の若者たちの言葉や、数えきれないほどの顔写真の展示と、その若さ、その表情に、今回も涙が溢れそうになってしまいました。

昇殿参拝を申し込むと、その回の参拝者が私を含めてふたりだけという、高尾山薬王院護摩供を思い出す展開に……。以前は拝殿に上がって修祓の儀を行っていたのですが、今回は本殿に向かう廊下の角にある祭壇でお祓いを受けました。本殿の中は20年前と変わらす、何もなくて、ただ正面に巨大な鏡がある空間でした。神職さんが祝詞を奏上し、一緒にニ礼ニ拍手一拝でお参りをしました。最後に神職さんから短いお話を伺って、昇殿参拝は終了です。本殿に向かう廊下から、夜間中庭参拝をする人たちが見えましたが、あれなら昇殿参拝をした方がきっとコスパ高いです。

今回は日が暮れる前に靖国神社を出ることになりましたが、本当は日が落ちて提灯が暗闇に映えるのが、この祭りの見所のひとつです。神楽殿の特設ステージで「軍歌ナイトフェス」に興じていたご老人たちの姿が思い起こされます。今年は軍歌ナイトは中止なのか、既に興じる人も少なくなり無くなってしまったのか、隣国が見たら軍国主義の復活とか騒ぎそうだが、あれはあれで良いイベントだったと思います。

ということで、明治神宮の回に引き続き、私が20年前に芸術作品だと勘違いして撮った靖国の灯の写真を掲載しておきます。

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来年は全てのイベントが行われる「みたままつり」でありますように。

 

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