寺社探訪

寺社探訪とコラム

コラム

「人形供養祭」

先日とある葬儀社が主催する人形供養祭のお手伝いに行ってきました。人形供養は葬儀社が主催したり、神社や寺院で行われていたりします。今回は主催者側の立場から、人形供養祭を解説してみます。 (※ 写真はフリー素材) 人形を供養する訳 人形供養祭をする…

「葬儀屋さんの病院業務」

以前、配達業務でとある大病院の防災センターを訪れた際、後ろから声をかけられました。振り返ると葬儀業界のフリーランス仲間がいて、業務としてこの病院に詰めているとのことでした。その後私は患者としてもこの病院に通うことになり、またそこで彼と会い…

「住職殺害事件と葬送業界のゆくえ」

足立区の源証寺で、墓石業者が住職を殺害するというショッキングな事件がありました。動機やら犯行の詳細については裁判で明らかになると思いますが、強い殺意を持って、荒っぽく犯行に及んでいます。 目次 ヒエラルキー 葬送の希薄化 起死回生の永代供養納…

「居住エリアで火葬費用が違う」

同じ東京都でも、住んでいるエリアで火葬費用が違うと聞くと、不公平な気がします。中野区でも品川区でもコンビニのチキンは同じ値段なのに、火葬費用は違います。百聞は一見に如かず。20~30名参列のお葬式を想定して、東京都内にある火葬場をピックアップ…

「孫にご注意」

なんでこんなに可愛いのかよ 孫という名の宝物 かつてそんな演歌が流行ったのですが、平均寿命が長くなり、90代の故人が全く珍しくもない昨今、喪主やその兄弟の孫世代がお葬式に参列することも多くなりました。家族間であっても、両親の孫に対する溺愛振り…

「葬祭フェア」

危険な暑さが続いている日本列島ですが、お葬式業界は相変わらずスーツにネクタイが必須で、熱中症になる人が続出しています。小池知事がクールビズを言い出したのなら、東京都夏季ネクタイ・ジャケット禁止条例とか作ってほしいなぁ。 さて、かつて葬祭専門…

「親族代表の挨拶」

お葬式の最後に親族の代表者が挨拶をしますが、これはやってみると意外に大変です。自分が喪主で父母のお葬式で挨拶ともなると、感情がコントロールできず舞い上がった状態で挨拶をし、頭の中が真っ白で記憶にも残らないなどということも聞きます。私はお葬…

「ゆうべはお楽しみでしたね」

もう20年くらい前の話ですが、とあるお葬式の司会の仕事をしていました。葬家の菩提寺は遠方にあり、99歳のご住職は立ち会えないとのことで、副住職が東京に泊りがけでやってくることになりました。 副住職と言っても99歳のご住職の息子さんなので、既に還暦…

「死に顔を見られたくない」

とある寺院のサイトに、死んだ後の顔を見られたくない人のお話が書かれていました。たしかに、闘病でやつれた姿を他人に見せたくないという気持ちはわかります。中には元気だった頃とは別人のようになってしまう方もいます。 地域差はあると思いますが、お葬…

「東日本大震災から12年」

今年は東日本大震災から12年経つので、仏教的には亡くなられた方々の13回忌になります。高野山真言宗の管長さんが岩手県の陸前高田市で法要を行ったことがニュースになっていました。高野山真言宗では、総本山の高野山金剛峯寺と高輪の東京別院、南三陸町の…

「ご遺体へのわいせつ行為」

ある日、仕事仲間から「変態がいましたね」と事件のことを聞きました。そして2月3日、東京地裁で判決がありました。この事件は、葬儀社社員によるご遺体へのわいせつ行為というものです。被害にあった故人とご遺族は、本当に悔しくてたまらないとお察しし…

「生きた証 甲斐犬ブリーダー崩壊事件」

2月22日は猫の日です。ということで、私の愛猫が眠る深大寺動物霊園に行ってきました。この日は合同の四十九日法要が行われていて、終わった頃を見計らって訪れました。 私は犬を飼ったことはないのですが、Youtube「ポチパパちゃんねる」を応援しています…

「阪神淡路大震災から28年」

十年ひと昔と言いますので、28年だとかなり古い話になります。30代前半の人でもほぼ記憶に無いような出来事になったのですね。それでも毎年人々が集って、亡くなられた6400超の命に対して祈りを捧げています。東京でも日比谷公園で「1.17のつどい」が開催さ…

「2022年 寺社探訪的ベスト3」

2022年が過ぎようとしています。年齢に比例して加速度的に時間の経過が速くなり、あっという間の1年間でした。コロナ禍で仕事が激減して苦しい日々の中、夏頃には入院するやらしないやら、仕事と健康の充実度は低空飛行中です。さらにこれから増税とか、耐…

「ペット供養」

二年前に飼っていた猫を亡くしました。晩年は病気で苦しい思いをさせましたが、最後の最後まで頑張って生き抜いてくれました。その最後のひと息が絶えたとき、私は腕の中で眠る愛猫に、感謝の気持ちを超える、大きく神聖な負債を抱えたような気持ちになりま…

葬儀とお金3「費用の節約」

少し間が空いてしまいましたが、葬儀とお金の話の3回めです。さて、葬儀費用とはどんな仕組みになっているのかを、これまでの2回で書いてきました。そこで今回は、高すぎる費用を抑える方法をいくつかビックアップします。 家族葬にする・・・以前のコラム…

「大型葬儀(安倍元首相の国葬を見て思う)」

安倍元首相の国葬が行われました。国葬当日は仕事が休みだったので武道館に献花に行こうかとも思いましたが、長蛇の列に並ぶことで何時間も過ごすよりも、自室で中継を見た方が意義があるという結論に至りました。賛否両論ありましたが、強行する政府と反対…

「新興宗教の子ども 2」

事件 安倍元首相の国葬が行われますが、その決定プロセスを巡って国民が反対を訴え、なんだかモヤっとした毎日となっています。安倍元首相が殺害された事件は、衝撃の大きさに加え、事件の因果関係に宗教団体が絡んでいたことから、大きな関心を集めることと…

葬儀とお金2「総額で比較」

病院から葬儀社に連絡して、担当者がやってきて見積もりを取ります。 望ましいのは、事前見積もりを複数の葬儀社に依頼し、比較検討していることです。いざ大切な家族が亡くなられてから、複数の葬儀社の見積もりを比較検討するのは、時間的にも精神的にもキ…

葬儀とお金1「葬儀費用の仕組み」

所得が上がらないのに物価が上がっていく厳しい世の中、大学を卒業して就職したら一人前というのはもう過去の話になっています。現在は大卒初任給レベルの所得では都市部で1人暮らしも難しく、結婚して生まれた子供が成人するまで、親の援助が必要な世の中…

「家族葬というパワーワード」

私の記憶では、20年ほど前から「家族葬」という言葉が使われだしたと思います。おそらく最初は、ネット集客型のブローカー葬儀社が使い始めました。格安セットプランで葬儀業界の価格破壊を行ってシェアを獲得し、「ネット集客型ブローカー葬儀社」という、…

「葬送のしきたり」

お葬式には、風習、慣習、習俗、しきたりなとがたくさん関係してきます。それぞれに意味があって行われていることですが、その内容が諸説あって曖昧なベールに包まれ、何が正しいのかわからない。何年経験を積んでも、捉えきれない分野となっています。初め…

「葬祭ディレクター試験」

葬儀の仕事は無資格で開業できますが、それでも業界の健全化と発展のために、業界団体による資格が設けられています。たくさんの資格があるのですが、最もポピュラーなのは「葬祭ディレクター試験」という、葬儀社や互助会の加盟団体が主催している資格です…

「おくりびと」

葬儀業界では何年かに一度、メディアの流行が仕事の領域にダァーッとなだれ込む現象が起こります。昔ですと、1999年にCM曲となった坂本龍一作曲の「エナジーフロー」という曲が、葬儀式場でよく流れていました。同じ年に北野武監督の映画「菊次郎の夏」が流…

「縄文時代の神」

古い寺社を訪れる時は、その歴史を学びながら、どんな社会で暮らしていた人が祈りを捧げたのだろう? と思いを馳せます。それが千年前なら、平安時代の中後期。五穀豊穣を祈ったり、誰かの幸せのために祈った人もいるでしょう。2千年前だと垂仁天皇の御代。…

「晩年の住職たち」

先日お通夜の司会の仕事で、葬家の菩提寺の副住職と打ち合わせをしました。「明日は住職も参りますから」と言われて少々驚いた。このお寺の住職様はかなりのご高齢で、前年に仕事でお会いしたときには、手術をされて体調がかなり悪かったようでした。それか…

「最澄と天台宗のすべて」

東京国立博物館で11月21日(日)まで開かれている展示会「最澄と天台宗のすべて」に行って来ました。しかしこのタイトル、ただ一度の展示会で最澄と天台宗のすべてを示すなんて、誇大広告も甚だしいなんて思っていました。ですが、興味を持って気にしている…

「葬儀渡世の素敵な面々」

一般の方が葬儀を依頼するのは葬儀社だと思います。依頼すると葬儀社の社員がやってきて、見積もりや相談をして、通夜、葬儀を執り行います。遺族が依頼したのは葬儀社のみでも、ひとつのお葬式には、実は専門的な技術や知識を持った様々な会社や個人が関わ…

「白骨の御文」

葬儀業界で働き始めると、様々な宗派の葬儀に立ち会うことになります。最初は先輩から教わることが多いと思いますが、一般的に馴染み深い平安仏教(天台宗・真言宗)や鎌倉仏教(浄土宗・浄土真宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗など)の中で、浄土真宗だけ特殊で…

「新興宗教の子ども」

我が生は 下手な植木師らに あまりに夙く手を入れられた悲しさよ と詩ったのは中原中也ですが、私にもこのフレーズがしっくりくる、ある思いがあります。以前どこかで書きましたが、私の両親は新興宗教の信者で、私も姉も妹も、物心つく前からその宗教に入信…