寺社探訪

寺社探訪とコラム

「荒川 百所巡礼 2」

目次

色づくコキア・小さな神社

こちらは荒川の河口から0km地点です。写真の右側中央に小さく映る青い杭が、前回のレポートで紹介したキロ杭です。荒川の河川敷には土手の上を通る道と土手下の川側を通る道があります。どちらも舗装されていて、車は通れませんが自転車は通行可能ですので、サイクリング勢が多く集まります。どこまでこの二層構造なのかわかりませんが、土手上と土手下の道が並行して続いています。土手下の道沿いには青いキロ杭が立っていて、土手上の道には写真のような「荒川之下流三十景」というイラスト地図が書かれていました。

こちらが清砂大橋です、格好良い斜張橋ですね。奥に並行して地下鉄東西線の鉄橋があります。2年前に歩いた多摩川と比べると、とにかく河川敷が広いです。散歩やサイクリングのための道路も広いです。この河川敷の最大勢力は今のところサイクリング勢です。グループだったり個人だったり、高価そうな自転車が行き交っています。もう少ししたら、野球勢やサッカー勢が勢力図を変えてしまうのでしょう。

岩がゴロッと置かれていますが、「荒川源流の石」という説明書きがあります。もののけ姫のコダマが住んでいそうな奥深い山中の写真に恐怖を感じます。荒川は秩父市甲武信岳の中腹を源流とするそうです(へぇ~)。平成3年の砂町水辺公園開設を記念して、荒川の上流と下流の交流を期すべく、秩父市(当時の埼玉県大滝村)から江東区に寄贈された石だそうです。河口では砂になりますが、源流では大きな石だったのだということですね。さあ、先のことは考えないで今を満喫しながら進みましょう。つまり、誰も源流まで行くとは言ってません、ということです。

1kmのキロ杭がありました。草ボーボーで埋もれてしまいそうです。一応、公園なのでベンチがあったり、花壇があったりトイレがあったりします。

コキアが色づいています。モフモフ植物の中でも人気のコキアですが、もっと赤くなると思うので、周辺住民の皆さんは緑から赤に変わるコキアを眺めるのも楽しめますね。奥に見える橋は葛西橋です。江東区南砂と江戸川区葛西を繋ぐ橋です。

多摩川にもありましたが、荒川にも漁港があります。釣り船と屋形船が営業しているそうです。夕方に差し掛かっていましたが、作業をされている方がいらっしゃいました。釣り船はシロギス狙いとのこと。かつて多摩川の羽田からシロギス釣りに行ったことがあります。東京湾を船で走っていると、究極の非日常と言いますか、心が解き放たれる気分を味わえます。屋形船は隅田川の方が主流コースのようですが、ここから舞浜を周遊するコースも用意されているようです。

 

荒川 百所巡礼 第2番:ぽんぽん神社

googleマップによると、この付近に神社があると書かれていて、探してみるとありました。赤いペグを輪ゴムで止めて作られた鳥居に「ぽんぽん神社」という扁額が掲げられています。創建は不詳ですが、御神体は奥に刺さっている流木と思われます。日本古来の巨木信仰を源にする神様をお祀りしているのですね。境内には園芸用のソーラーライトが4対あり、夜間の参拝にも対応しているようです。脇にペットボトルの天然水が置かれていますが、これが手水舎の代わりなのか、神饌(お供え)の意味なのか不明です。賽銭箱の横に赤い鳥がいらっしゃるので、この神社が祀る流木の神様は赤い鳥(アパパネ?)を神使とされているようです。賽銭箱から鈴緒が垂れていますので、お参りの際には賽銭箱を倒さないように鈴を鳴らしてください。

 

江東区江戸川区・荒川ロックゲート

2kmのキロ杭です。この隣に江東区立砂町庭球場があります。かつて仲間とテニスをしていた時期があり、月に一度は公営の庭球場を借りていました。ここを過ぎると江東区から江戸川区になります。

こちらは小松川リバーステーションです。私は防災関連の知識に疎いのですが、役に立つから設置されている訳です。陸路が使えなくなり、水路で物資を運搬するほどの災害って、想像することが難しいです。

徳川家康が江戸に入城して以来、この東京の東部にあたる広い範囲で、川の流れを変えたり、運河や水路を開削したりしてきました。私が歩いてきた荒川も、正式には荒川放水路と言って、昭和になって完成した水路です。そもそもの荒川の流路は隅田川でした。ここ( ↑ )は旧中川と荒川の合流点で、旧中川から荒川に流れる流量を調節する水門です。小名木川と竪川が、隅田川と旧中川を直線で結んでいて、さらに横十間川と大横川と直角に交差しています。碁盤の目のように水路を廻らして、かつては盛んにモノと人を運んでいました。川や水路を繋ぐことは簡単かもしれませんが、繋ぐだけでは済まなくて、水の流量を調整しないとすぐに氾濫してしまいます。そんな訳で、荒川周辺の川が入り乱れるエリアには、水門がたくさんあるのです。

こちらは荒川ロックゲートと呼ばれる施設で、やはり旧中川と荒川の合流点にあります。これは閘門(こうもん)と言いまして、川の流量を調節するための門ではなくて、水位の違う川を船が行き来するための施設です。小学校の社会の授業で、パナマ運河スエズ運河を学んだときに習いましたよね。

このドックのようなエリアで水位を調整して通過する訳です。しかし、どんな目的でここを船が通るのでしょうね。何かを運搬するなら、陸路の方が時間も費用もかからない気がします。

こちらは都営新宿線の鉄橋です。このあたりの河川敷は草ボーボーの放置状態ですね。

生い茂っていますので、たぶん土手下の道を歩くと、ほぼ景色がないのでは? と思われます。この橋は船堀橋で、江戸川区小松川江戸川区船堀を結んでいます。

首都高速7号小松川線てす。江戸川区に入った途端に河川敷が放置状態なので印象悪いですが、もう少し歩くと野球場やスポーツ用のグラウンドがたくさんあります。また、江戸川区民の名誉のために申し上げると、対岸の左岸も葛西からずっと江戸川区なので、荒川河川敷開発には相当の貢献をしています。江戸川区は荒川河川敷のプロフェッショナルなので、自然を自然のまま残すことも、意図を持ってワザとそうしているのです。

このあたりは小松川千本桜の杜と称して、桜の木がたくさん並んでいます。秋だとこんな感じですが、春はすごいでしょうね。ご近所の方々が羨ましいです。

小松川橋と新小松川橋が並んでいます。この橋は、当ブログの「江戸六地蔵千葉街道」の企画で渡りました。両国から竪川沿いに旧千葉街道を、亀戸、小岩、市川まで歩きました。

 

平井周辺でお参り三昧

さて、ここからスポーツ用のグラウンドが並ぶのですが、ここで河川敷を反対側に下りてみます。と言うのも、百所巡礼企画なので、荒川にほど近いお祈りポイントへ行ってみることにしました。ここは、江戸川区平井あたりになります。

 

荒川 百所巡礼 第3番:浄土真宗本願寺派 善通寺

浄土真宗本願寺派善通寺です。入った瞬間、ああ、本願寺派だぁと思いました。築地本願寺によく似ていますよね。康正年間(1455-1457年)の創建で、1596年に東小松川村に移転し、大正4年(1915年)に荒川放水路の開削のために現在地に移転したそうです。この寺の本尊は奈良時代の中将姫が織った阿弥陀如来曼荼羅で、それをこの辺りの豪族→武士であった千葉氏が代々守り本尊として受け継いできたそうです。千葉氏の末裔の蓮真が受け継いだ曼荼羅を本尊に善通寺を創建したのだそうです。

 

荒川 百所巡礼 第4番:日蓮宗 大法寺

善通寺の隣に日蓮宗大法寺があります。こちらも移転してきた寺院ですが、移転来てきたのは昭和4年(1929年)どのことで、善通寺の14年ほど後になります。そもそもは大永2年(1522年)に本所で創建されたそうです。大法寺も千葉氏ゆかりの寺院で、建長5年(1253年)に日蓮が亀戸あたりを通った際に、千葉氏の誰かが日蓮に帰依して「南無妙法蓮華経」の字を頂いたそうです。それを石に彫って宝塔を建て代々受け継いだそうですが、ある時疱瘡で亡くなっだ千葉氏の子が、この石の功徳で蘇ったそうです。その子が成人して仏門に入り、大法寺を創建したという訳です。

 

荒川 百所巡礼 第5番:天台宗 成就寺

大法寺の隣には天台宗の成就寺があります。このように寺院が並ぶ寺町を形成する場合、同じ宗派であることが多いのですが、ここはバラバラですね。この寺院は嘉祥元年(848年)の創建とのことで古さにも驚きますが、創建したのが慈覚大師円仁とのことでビックリです。伝教大師最澄が最も信頼した直弟子として活躍した稀代の名僧です。成就寺は元々は本所にあったそうですが、明治40年(1907年)に墓地のみを当所に移転させたら、関東大震災で寺院の堂宇が焼失してしまったので、昭和2年(1927年)に寺院ごと移転してきたそうです。

 

荒川 百所巡礼 第6番:天台宗 最勝寺

成就寺の隣には天台宗最勝寺の赤い立派な門があります。同じ宗派ですねと思ったら、創建も同じ慈覚大師円仁でした。貞観2年(860年)に本所で創建され、大正2年(1913年)に現地に移転しました。

実はこの寺院は、当ブログの「五色不動尊巡礼」という企画で訪問しています、五色不動尊のひとつ、目黄不動尊として有名な寺院なのです。寺伝によると、奈良時代の高僧で東大寺を創建した良弁作の不動明王像なのだそうです。シビレますね。

また、荒川の土手に戻ってきました。見えているのはJR総武線の鉄橋です。広い土手が荒川っぽいですよね~。金八先生が歩いてきそうです。若い方にはわからないかもしれません。

 

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