寺社探訪

寺社探訪とコラム

五重塔 3選

奈良や京都のイメージが強いですが、東京にも五重塔が結構あります。江戸時代に建っていた塔を江戸四塔、江戸六塔などとひと括りにしています。ちなみに江戸四塔は寛永寺浅草寺、谷中天王寺の3塔と、池上本門寺もしくは増上寺を加えて江戸四塔とするそうです。増上寺の五重の塔は東京大空襲によって焼失し、谷中天王寺の五重の塔は戦後放火で焼失しています。上記の五つに、中野宝仙寺の三重の塔を加えて江戸六塔になるそうです。

 

③ 旧寛永寺五重塔

上野の五重塔は、寛永寺ではなく、上野東照宮の堂宇として寛永8年(1631年)に創建されました。寛永16年(1639年)に焼失し、再建されています。とはいえ、そもそも上野東照宮寛永寺境内社として建立されているので、神仏習合の何でもアリな感じで存在していたのでしょう。

明治維新廃仏毀釈で取り壊されそうになりますが、上野東照宮ではなく寛永寺の管理だということになって生き延びます。しかし結局寛永寺でも維持が困難になり、戦後、東京都の管理に移されました。現在は上野動物園の敷地内に建っていて、国の重要文化財に指定されています。写真( ↑ )は上野東照宮から撮影したもので、動物園内に入るともっとしっかり見ることができます。

 

池上本門寺五重塔

慶長13年(1608年)に、徳川二代将軍秀忠の乳母である正心院(岡部局)の発願で建立されました。現存建物として関東最古の五重塔であり、国の重要文化財に指定されています。

かつて記事に書いたと思いますが、私が入院していた病棟から、遠くに池上本門寺五重塔が見えて、入院患者たちの心の支えになっていました。目に見えることで神仏の存在が身近に感じられ、なんとなく不安な気持ちを落ち着かせてくれました。

 

浅草寺の五重の塔

結局、現存する江戸四塔のご紹介になりましたが、最後は浅草寺五重塔です。上野や池上に比べると、見た目にも鮮やかで派手というか、格好良いです。創建は天慶5年(942年)に平公雅によって建立されました。当時は奈良の薬師寺式と呼ばれる、境内の東西に塔が立つパターンで、三重塔だったそうです。その後焼失したり再建されたりを繰り返し、現在の五重塔は昭和48年(1973年)に再建されたものです。

五重塔はそもそも仏舎利塔として伝わりました。仏舎利塔とは釈迦の遺骨を納める塔です。本当の仏舎利(釈迦の遺骨)が納められているかどうかは、信仰心に包まれて明らかにされることはありません。それでも日本国内には、正式にインドや周辺国の寺院から譲り受けた釈迦の遺骨が納められているとされる仏舎利塔がいくつかあります。浅草寺五重塔の最上階にもスリランカの寺院から譲られた仏舎利が安置されていて、ある条件を満たす人々は拝観することができます。

 

番外編 奥多摩 靖国の塔

こちらはJR青梅線の終着駅、奥多摩駅から愛宕神社に向かう途中の広場に建っています。当ブログの「秘境的寺社3選」でご紹介した長く急な階段を登ったところにあります。

正式名称は「戦没者奉嗣靖国の塔」と称し、昭和31年に氷川町が建立しました。この広場には五重塔の他にも、様々な宗教的なものや平和的なものが並んでいて、私自身はあまり良い印象を持っていません。何だか節操がないというか、何でも並べれば良いというものでもなく、ひとつひとつの意味や歴史が違うのなら、別々にしてほしいと思っています。

 

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