寺社探訪

寺社探訪とコラム

「おかがら火・うそ替え神事に行く」

私事ですが、1週間ほど入院していて、11月3日に退院しました。今回は簡単な入院と聞いていたのですが、思ったよりもキツかったです。缶詰生活から開放されたので、軽めの伝統行事に出かけてみました。ずっと気になっていて去年初めて見に行った行事で、噂通り不思議な行事でしたが、かなり良い印象が心に残っています。ということで、「大庭燎祭(かがりび)」と「うそ替え神事」が行われる谷保天満宮に向かいました。

「おかがら火」は3mほどに組んだ2つの薪の山に火をつけて、どちらがよく燃えるかを競うという神事です。神事の詳細は昨年のレポートに書いていますので、そちらをご覧ください。この日は11月なのに25℃超えの夏日を記録して、昨年と服装がだいぶ違っていました。コロナ禍でずっと中止されていて、昨年数年ぶりに開催されたのですが、今年は去年の倍以上の人が集まっていました。

境内に入る前からお囃子の音が聞こえていて、何が行われているか楽しみに向かってみると、到着した頃には終わってしまっていました。まずは道真公にお参りします。「おかがり火」の炎に当たると無病息災ということで、退院当日にやってきた私は道真公から「当てつけか?」と言われそうですが、退院してこの場にいることがご神徳なのだと思いを込めてお参りしました。実はこの先も入院・手術をすることが決まっていて、今日「おかがら火」の炎に当たっても、無病息災にはならないことをご了承くださいとお伝えしました。人が多い割にお参りの列が少なかったのですが、これには訳があります。

境内のテントでだんご汁が配られていて、こちらに大行列ができていたという訳です。コロナ禍ではこのようなことは難しかったですが、もうコロナ禍は過ぎ去ったということでしょうか? 私自身はコロナがどうという訳でなく、2日前に手術(内視鏡の簡単なものです)をしたばかりで、ご飯を食べるとお腹が痛む感じがまだあったので、外食はやめておきました。

さて、おかがら火の神事が行われる場所へ行くと、ちょうど神職さんと神社の役員の方が配置についていました。まずは祓詞(はらいことば)を奏上します。祝詞(のりと)奏上の間は、一同低頭(ていとう)します。が、私を含め皆さん撮影したいので、カメラだけは上を向いている状態です。よく神社の拝殿に「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」という唱え言葉が掲げてありますが、その冒頭も祓い給いとなっているように、神道ではまずお祓いをするというのが基本です。

斎主が榊を振って、薪の山を祓い、最後に観衆をお祓いします。お祓いをしていただいている間は低頭します。お祓いが終わると斎主が右の山から順番に火を灯します。皆さんの期待が高まるのが目に見えるようです。奥の方には消防団の方が待機されています。

薪の山が燃え始めました。儀礼的には火をつけたら終わりという、本当に不思議な神事です。この後は周囲の人がそれぞれの気が済むまで火を眺めて、随時解散という謎イベントなのです。どちらが燃えるかを競うという行事ですが、特に判定が発表されたり、どっちかがよく燃えたからどうなるというのはわかりません。近くにいた地元の方が、どちらかがよく燃えたら豊作だとか言っていました。今回は右側がだいぶ燻っていますね。

薪の山の中央に竹が一本高く立てられて、そこに幣帛がついています。これすぐに燃えて飛んでいくのかと思ったら、なかなか燃えません。水で濡らしているのでしょうね。この幣帛が燃える瞬間というのが、結構見モノでした。耐えていた分、燃えだすと一気にパァーッと炎を上げて火の粉になり、空に舞い上がっていきました。

燻っていた右側が先に崩れ始め、一気に火力が上がりました。という風に、数百人で薪が燃える様子をじーっと見つめるイベントです。これが不思議な効果があって、しばらくすると、いつまでも見ていられる感覚になるんです。薪の山を見ると絶好調で燃え盛っていることがわかりますね。

流石にこうなってくると、じっと見ていると顔が熱くなってしまいます。この火に当たれば無病息災というご神徳をぶち壊しにしている私ですが、それでもこの熱はすごく効きそうに思えて、「良くなれ良くなれ」とお腹を擦っていました。とはいえ、流石に二日前に手術したばかりなので、時々お腹がピリリと痛みました。

少し場所を移動してみました。体調的に去年のように1時間も見ていられないので、ここで帰ることにしました。この不思議な神事は、谷保天満宮がこの地に移転してきた際に出た廃材を燃やしたことから始まったそうです。

帰ろうとすると、お囃子が始まって、ひょっとこのお面を被った方が、獅子舞を手に踊り始めました。近隣のお囃子連の方々のようです。獅子舞はその人の邪気を食べるとされていて、厄除けになるとか頭が良くなるとか言われます。周囲に親子連れが集まり、泣き叫ぶ子どもの頭を無理やり噛ませていました。頭の良い子に育つといいですね。

天神様の恒例行事で、うそ替え神事があります。これも去年のレポートに詳しく書いています。谷保天満宮でも本日限りで「うそ鳥」を500円で販売していました。毎年買い替える(とり・かえる)のが基本です。

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