寺社探訪

寺社探訪とコラム

臨済宗建長寺派 廣徳寺

廣徳寺 目次

名称・寺格

龍角山 廣徳寺 と称する臨済宗建長寺派の寺院です。寺格は特にありません。

創建

応安6年(1373年)に、信源希徹によって開山されました。

本尊

聖観音菩薩座像

みどころ

茅葺屋根の本堂や山門は、古刹の雰囲気満点です。周辺のあきる野の町並みと合わせると、映画の中にいるような気分になります。

アクセス

東京都あきる野市小和田234

JR五日市線「武蔵五日市」徒歩30分

 

探訪レポート

JR五日市線の終着駅「武蔵五日市」から徒歩30分とのことですが、バスで来ることもできます。私は徒歩できましたが、ちょうど子どもたちの下校時刻と重なったようで、古い町並みと駆け回る子どもたちが、ジブリの映画の中にいる気分にさせてくれました。この庚申塔や石塔が並べられた角を曲がって、坂道を登ります。

この坂の上に駐車場もあるので、車でも訪れることができます。

最初の総門から味のある雰囲気たっぷりです。扁額には不思議な字体で「穐留禅窟」(あきるぜんくつ)と青色で書かれていました。この扁額は江戸後期の文化人松平不昧の筆なのだそうです。江戸時代の廣徳寺は多くの末寺や塔頭寺院を有し、多摩地域では深大寺薬王院に匹敵する大寺院だったそうです。

総門を入ってまっすぐ進むと、さらに凄い山門が建っています。こちらも茅葺屋根で、その大きさと精密な構造、醸し出される風情、どこから見てもため息が漏れてしまいます。江戸中期の建立とされています。

この軒を支える部分の構造を枓栱(ときょう)というのですが、日本の伝統的な建築工法の中でも、代表的な特徴ではないでしょうか。いくつかの様式があって、その様式によって歴史的な背景がわかり、それぞれに考え尽くされた匠の技の美を見ることもできます。広徳寺山門の枓栱も素晴らしいです。

お地蔵様だと思いますが、土台となっている石の苔むした感じが良いです。

乳垂がすごい銀杏の木ですが、時期的に葉が全部落ちています。樹齢400年とも言われるこの銀杏は、紅葉の時期には境内を黄金色に染めるほどの絶景を作り出します。山門の裏側に並んで立つこの二本の大きな銀杏が、廣徳寺のシンボルとなっています。

鐘楼堂です。屋根のゴツさが印象的です。銅板葺きですが、そもそもはこの鐘楼堂も茅葺屋根だったのでしょうね。忠実に再現した感じです。

本堂は茅葺屋根で、禅宗らしい佇まいです。屋根に北条家の家紋が配されているのは、北条氏康が境内を再興したからとのこと。小田原北条家の支配下にあったので、多摩西部の寺院には北条家の家紋を掲げる寺院が多いです。本尊は聖観音菩薩座像となっていますが、寺院入り口の説明書きに面白いことが書いていました。平成4年に東京国立博物館技官の鑑定によると、聖観音菩薩像ではなく宝冠釈迦像だったそうなのです。菩薩から如来へ格上げされた訳ですが、さすがに700年を超える歴史を覆せなかったのでしょう。鑑定後も聖観音菩薩ということになっています。

本堂の横には客殿と玄関があってその横に庫裏があります。建物が並ぶと趣が増します。庫裏の前の庭を植木屋さんが手入れしていました。

本堂の裏側には池がありました。植物が生い茂っていてわかり辛いですが、かなり広い池です。

石橋を渡ったところに小さなお社があります。

こちらは東京都の天然記念物として指定されているタラヨウの木です。タラヨウは東海地方から近畿地方以西に主に分布するモチノキ科の樹木で、廣徳寺のタラヨウは都内最大のものだそうです。

そしてもうひとつ、東京都の天然記念物として指定されているカヤの木です。多摩地域最大だそうで、こちらも立派ですね。

対になって聳える二本の銀杏の木と、茅葺屋根の堂宇と趣深い本堂は、現代であることを忘れてしまうほど、特別な場所にいる気分にさせてくれます。紅葉の季節ですと、この銀杏の木とそして銀杏の葉が落ちた地面、つまり視線の上と下が黄金色に染まります。いつか紅葉の廣徳寺もレポートしたいと思います。

 

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