寺社探訪

寺社探訪とコラム

「荒川 百所巡礼 6」

目次

彩湖ラブラドール・レトリバー

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野球場に向こうにある建築物は「荒川第一調節池排水門」という名称で、彩湖からの排水を調整する水門です。彩湖と言えば東京オリンピックの誘致で話題の的になった湖です。マスコミが世論を誘導して、「海の森水上競技場」との候補地争いを画策しましたが、結局負けてしまいました。その時の報道が悲壮感たっぷりと言うか、マスコミには森さん率いる組織委員会を悪者にして小池都知事とバトルさせたい思惑があったようで、埼玉県はそれに振り回された感じでした。

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薄っすらですが、富士山が見えます。絵画のような単独峰で、世界中の観光客が登りたがる訳ですよね。私も15〜20年前に登ったことがありますが、その時も御来光に合わせた時間は結構混んでいました。今では入場制限しないのが不思議なほど混んでいて、御来光の時間帯は渋滞して登れないそうです。また、平服だったり、スニーカーだったり、八合目で野宿したりと、事故寸前のような登山者も多いようです。

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30kmに到達しました。土手の左が新河岸川で、右が荒川です。このあたりで不思議な雰囲気の女性とすれ違いました。特に奇抜な格好をしている訳でもないのですが、気になりました。そして更に数分歩いていると、道の端に黒い塊が見えてきました。だんだん近づいてくるにつれて、それが犬だとわかってきました。赤い首輪をしていて、リールリードが付いていました。先ほどの不思議な女性が思い浮かびましたが、振り返っても姿は既に見えません。お座りして口を開いて笑顔の犬は、ラブラドール・レトリバーに見えました。私に対して警戒心もなく明らかな飼い犬ですが、周囲を見渡しても飼い主さんがいません。「飼い主さんは? 大丈夫なの?」と話しかけるが、笑顔でお座りしています。こんな犬が捨てられる理由がないので大丈夫だとは思うものの、もし捨てられたのなら、せめてリールリードだけでも外してあげないと事故に遭う可能性があります。ただ、この犬が捨てられることなんてあるかなぁ・・・と、考えていると、やはり先ほどの不思議な女性がこちらに歩いてくるのが見えてきました。犬は視線を女性に向けて微動だにせず、私は安心してその場を去りました。賢いと言われる犬種ですが、もの凄い「待て」ができるんですね。

和光市朝霞市・正式な田舎の神社

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国道298号線と東京外環道が通る幸魂(さきたま)大橋です。新河岸川と荒川と彩湖を渡るのですごく長い橋です。神道用語に幸魂(さきみたま)というのがありますが、幸福を与える神の働きを幸魂と呼びます。また、土地の名前として多摩地域の手前なので前玉(さきたま)→幸魂→埼玉と変遷したという説があるそうです。此岸の河川敷が狭くなって、彼岸の河川敷が広くなっています。

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久々に荒川がここまで迫ってきた感じです。左に見えるのは朝霞水門です。名前からわかるように、この水門の手前で和光市朝霞市に移っています。この近くに朝霞調節池があって、その溜池と朝霞水門で新河岸川を洪水させないために水量を調整しています。

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この水門付近に釣り勢が集まっていました。水門を過ぎたあたりにはラジコン飛行機勢が頑張っていました。昔、駄菓子屋で売っていたような飛行機の巨大版で、両翼1.5mくらいのラジコン飛行機を操縦して楽しんでいました。結構年配の方が多くて、皆さん濃いサングラスをかけていました。

 

荒川百所巡礼 第29番:下内間木氷川神社

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児童公園とセットになっているのが、正式な田舎の神社の特徴です。社務所自治会や町会の集会所と兼用であれば最高レベルです。このあたりは荒川と新河岸川に挟まれていて、何度も洪水の被害に遭いながら、土地開発をしてきた歴史があります。村が構成され、新田開発して生活の基盤を整える中、人々の拠り所となるべく神社が建てられます。この氷川神社はもともと、西福寺という寺院の境内社だったそうです。西福寺も洪水によって紆余曲折の歴史をたどり、今は観音堂のみ存在する感じです。

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明治維新神仏分離の後、村社の社格を与えられたとのことで、この氷川神社には立派な境内社があります。こちらは八幡神社に大禄天、浅間神社です。

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こちらが稲荷神社と御嶽神社天満宮金毘羅神社です。

朝霞市志木市・秋ヶ瀬ブルース

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32.8km地点です。荒川の河川敷はゴルフ場だらけで、日本人がどれだけゴルフ好きかというのがわかります。遠くに見えるは浦和の街です。

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JR武蔵野線の鉄橋とさくらそう水門です。さくらそう水門は、鴨川から荒川に流れる水量を調整しています。鴨川は埼玉県上尾市に源流がある河川で、さくらそう水門の奥に昭和水門もあります。JR武蔵野線は旅客線と貨物線の両方で運用されていて、とにかく風に弱い路線として有名です。風のため一時運転見合わせというのが、結構な頻度で起こります。

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土手の草が秋めいていて綺麗ですね。こちらは秋ヶ瀬橋です。このあたりから朝霞市を離れ、志木市に入っています。秋ヶ瀬橋は浦和方面に向かう主要道路が走っていて、この道路は秋ヶ瀬橋が完成する前から主要道路として存在しています。ということは、橋ができる前は秋ヶ瀬の渡しで荒川を渡っていたのです。

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なんだか、土手上の道が急に草ボーボーになっています。自治体が違うと土手整備も違ってしまうのですね。ここは海から34kmとのことです。周囲の風景や管轄する自治体は違っても、河口からここまで、土手があって土手の上に道があるという構造がずっと続いています。いつか土手が無くなって、あちこち進路を探して歩くことになるとは思いますが、この先もまだまだ土手は続いていきそうです。

 

荒川百所巡礼  第30番:下三在稲荷神社
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さて、記念すべき30番のお参りポイントは、下三在稲荷神社です。とにかく氷川神社が多い荒川流域ですが、稲荷神社が本来の勢力を見せつけています。小さな祠のような神社ですが、周囲を囲む石柱の塀には氏子さんたちの名前が刻まれていて、地域で大切に守られている様子が伺えます。

 

荒川百所巡礼 第31番:大日堂

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この大日堂のように、寺院としての構造が無くなって(元から無いのかもしれませんが)ひとつの堂宇だけ現存するパターンは、人里離れるほどに結構多くなります。そもそも現在ある寺院も、元はひとつの堂宇から伽藍を整え寺院化したパターンも多いです。墓地があるから守る人がいて、現在も存続しているんですね。この大日堂は承和2年(1346年)の建立と、かなりの歴史があります。創建したのが僧侶でも皇族でも大名でも旗本でもなく、戦乱を逃れた落ち武者たちによってです。珍しいですね。江戸期は真言宗観音寺の別院として管理され、明治元年に観音寺が廃寺になり、現在は曹洞宗大仙寺が管理しているとのこと。

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こちらの梵鐘は文政8年(1825年)に鋳造されたもので、上宗岡、中宗岡、下宗岡の名主や講中の名が刻まれていることから、地域住民が先祖供養のために奉納したものとされています。江戸期に鋳造され、現在も役割を果たしている市内唯一の梵鐘として、志木市文化財に指定されています。鋳造する際に村人たちが金銀・簪(かんざし)などを投げ入れたので、非常に良い音のする梵鐘になったと伝えられています。

 

荒川百所巡礼 第32番:馬頭観音

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後ろに見えているのは、先ほどの秋ヶ瀬橋です。草がボーボー過ぎて何が何だかわかりませんが、こちらは石碑と石仏で、馬頭観音が刻まれています。顔が潰れていてわかりづらいですが、一面六臂に見えます。人は昔から移動手段や運搬手段として馬を利用してきました。自分たちが生活するために頑張ってくれた馬を供養するために、街道沿いなどに多く馬頭観音が祀られています。川の近くや山の奥地など、交通の要所や通行困難な場所にも多く祀られています。

流石にこの辺りで、釣り竿やら犬やら、目的のはっきりした物を手にせずに歩いていると、出会った人から好奇な目で見られます。徒歩というのが不思議なようです。田舎といえども世界一のメガシティTOKYOの首都圏なので、電車とバスでどこへでも行けるものです。

 

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