寺社探訪

寺社探訪とコラム

「荒川 百所巡礼 9」

目次

荒川ではないのだが

朝日が眩しいです。見えているのは国道16号線です。眩しくて見えませんね。国道16号線は首都圏を大きく環状に走る国道で、このあたりは川越エリアと大宮エリアを結ぶ橋付近です。長閑な光景ですが、実は刺すような寒さで、自分の防寒対策を色々後悔しながら歩いています。すれ違う散歩の方々が気軽に挨拶してくれるのですが、寒くて歯はガチガチで涙目になってしまいます。あんなに暑い夏だったのに、容赦無い寒さで大変です。

河川敷のずっと続く道を歩いているのですが、私が歩いているのは入間川の河川敷で、荒川は入間川の更に向こう側を流れています。前回の分岐からはずっと入間川の右岸を歩いているという訳です。荒川はどこへ行ったのでしょうか。

 

荒川百所巡礼 第48番 愛宕神社

愛宕神社は基本的に火防の神なので、周辺住民の皆さんが自分たちの町が火事にならないように勧請した神社と思われます。火災保険もない時代ですと、火災は全てを一瞬にして奪う恐ろしいものという認識です。

 

荒川百所巡礼 第49番 玉泉寺跡 青面金剛

寺院が無住状態になって廃れてしまっても、墓地が残って供養し続ける人がいる場合があります。そういう場合は、近隣の寺院がその墓地を管理したり、墓地の利用者が組合を作って管理したりします。お堂をひとつくらいは残ったり、後から建立したりすることが多いのですが、こちらの玉泉寺跡地には石塔が纏められているだけでした。それでも児童公園と下老袋公民館が建っていて、何となく雰囲気が遺されています。

 

荒川百所巡礼 第50番 牛頭観音碑

こちらは牛頭観音碑です。多摩川を遡上したときも、上流になるに連れて馬頭観音が多く祀られるようになりましたが、荒川でも馬頭観音が頻繁に登場し始めました。こちらは馬頭観音ではなく牛頭観音なので、家畜の牛を祀ったものでしょう。

 

荒川百所巡礼 第51番 稲荷神社

お社だけボツンとある神社にしては、鳥居がふたつもありますし、のぼり旗のポールもあります。おそらくは放置されているようなお社ではなく、氏子さんがいて、行事も行われているのだと思われます。

 

荒川百所巡礼 第52番 石塔

髭文字の「南無妙法蓮華経」に第六天魔王と刻まれています。信長が第六天魔王と自称したそうですが、仏教には天部という場所が想定されていて、帝釈天毘沙門天弁才天、韋駄天などが存在します。それらの多くは仏教以前のインドの神が仏教と習合し、仏教の守護神であるとされていますが、天魔は天部でも欲の世界にいて仏教修行者の邪魔をする存在とされています。ただ、日蓮はそんな第六天魔王でも、法華経の教えの前では善良になると説いたのだそうです。

 

荒川百所巡礼 第53番 水神宮碑

土手に戻ってきました。土手の淵に水神宮と刻まれた石碑がありました。このあたりも荒川の氾濫に悩まされた過去があるのでしょうか。まあ、入間川なので、荒川ではないのだが。

 

入間川を渡り、比企郡川島町へ

しかし長い橋です。入間川の右岸から、橋を渡って荒川の右岸に移動したいと思います。川越市から比企郡に移動することとなります。橋の上はめちゃくちゃ寒かったです。身を切る寒さと言うか、風が当たる側だけ氷を押し当てられているようでした。

ここが荒川右岸、入間川の左岸の土手です。畑が広がるのみで、まったく川は見えませんが、荒川巡礼コースに戻りました。この道を進みましょう。疑問に思うのですが、土手が高く作られているのは、そのあたりまで水位が上がる想定なのだと思います。するとこの畑はどうなってしまうのでしょうか。2019年の台風で多摩川が氾濫した際、河川敷の野球場などが滅茶苦茶になっていました。野球場は公共の遊び場ですが、畑は個人の収入源でしょうから、滅茶苦茶になりましたでは済まない気がします。

 

荒川百所巡礼 第54番 馬頭観音

そんな河川敷に馬頭観音の石碑がありました。畜生道に落ちた衆生のための馬頭観音とのことでしたが、畑のそばに建てられているのは、やはり農耕馬の慰霊のためなのでしょうね。

 

荒川百所巡礼 第55番 白山太神社

河川敷にひと際立派な神社が現れました。白山太神社と書かれています。白山信仰は山岳と河川を信仰の対象として、修験道が大きく影響している神仏習合の信仰です。入間川と荒川に挟まれた地形が、白山信仰に相応しいですね。かつては白山妙理権現と称しました。

無人ですが、社務所というか、参集所というか、建物があります。白山信仰なので、ご祭神は菊理媛神(白山比咩神)、伊弉諾尊伊弉冉尊の三神となっています。近くに白山池という池があります。伝説によるとこの池には白山神社の神の眷属としての白蛇が住んでいて、池の魚を取ってはいけないというルールがあるそうです。

白山信仰とは全く関係ない感じの交通安全祈願ののぼり旗が掲げられています。きちんとした境内社もあります。本殿の右側が天神社で、左側が稲荷社です。両方とも大正時代に合祀された神社だそうです。ここまで立派だと、氏子組織がしっかりと管理しているのでしょうね。

荒川・入間川に挟まれた集落を歩く

荒川百所巡礼 第56番 地蔵尊馬頭観音

平沼中老袋線という県道沿いに、地蔵尊馬頭観音がご安置されていました。このサイズの地蔵尊が、道端にたくさん登場します。馬頭観音は石像のものと、名前のみ刻まれたものがあり、石像も一面二臂から三面六臂まで様々です。

 

荒川百所巡礼 第57番 金毘羅大権現

鳥居付きのお社があります。こちらは金毘羅大権現とのこと。鳥居の左側に手水鉢と力石もありました。金毘羅大権現香川県琴平町金刀比羅宮に祀られていた神仏習合の神です。航海の安全や豊漁など、海運や漁業関係の信仰を集めていますが、五穀豊穣などの自然の恵み的な御利益(ご神徳)も有名です。

 

荒川百所巡礼 第58番 出丸下郷の地蔵尊青面金剛馬頭観音

その金毘羅大権の横に地蔵尊青面金剛馬頭観音が安置されています。田舎の道端に安置される石仏の代表格を3つ並べました、という感じです。

 

荒川百所巡礼 第59番 地蔵尊

こちらはお堂が作られています。中にはお地蔵様がいらっしゃいます。ここは荒川河川敷なのですが、荒川は見えません。遠くまで見渡せるので、視界が広くて気持ちいいです。

 

荒川百所巡礼 第60番 地蔵尊

またまたお地蔵様です。東松山警察署出丸駐在所の前に鎮座されています。

 

荒川百所巡礼 第61番 上大屋敷愛宕神社

鳥居とのぼり旗のポールがあって本格的です。こちらは愛宕神社なのですが、素晴らしいのはこのようなお社のみの愛宕神社でも、ちゃんと階段が設置されていることです。愛宕神社といえば階段がセットですからね。この先、どこまでこの階段セットが守られ続けるでしょうか。そしてお隣には地域の集会所もセットになっています。

 

荒川百所巡礼 第62番 地蔵尊

土手の方へ戻ってきました。お地蔵さまと言えば赤い帽子と赤い前掛けですが、こちらのお地蔵さまは白い帽子をかぶっていて、ちょっと浮ついた感じを受けます。素晴らしいのは、お花やお供え物があって古びた感じもありません。熱心にお世話をされている方がいらっしゃるのですね。

 

荒川百所巡礼 第63番 馬頭観音

お地蔵様の真横に3つの石碑が並んでいます。真ん中と右は「馬頭観世音」と書かれています。左は「大権現 大天狗 小天狗」と書かれています。権現+天狗ですから山岳信仰の絡みだと思われます。

 

荒川百所巡礼 第64番 上大屋敷庚申塔

こちらも土手にある青面金剛の石像です木材の端材が投げ込まれていますが、気にせずにお参りしていきます。

土手上の道に上がりました。サイクリングロードになっているので、きれいに舗装されています。写真では気持ちのよい景色に見えます。実際は鼻水が止まらないほどの寒さです。見えませんが、進行方向右手の畑というか荒野の奥に荒川があります。そしてこの後、久しく存在を忘れていたとある物に出会います。なんでしょう?

 

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