寺社探訪

寺社探訪とコラム

赤坂氷川神社

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赤坂氷川神社 目次

名称・社格

赤坂氷川神社と称します。旧社格は府社です。江戸七氷川の筆頭格の神社で、東京近郊の准勅祭社による東京十社のひとつです。

創建

天暦5年(951年)、蓮林僧正が地中から掘り起こした十一面観音像を安置したことが創建とされる。

御祭神

素戔嗚尊(すさのおのみこと) 奇稲田姫命(くしなだひめのみこと) 大己貴命(おおなむちのみこと)

ご神徳

厄除け 縁結び が有名です。

みどころ

徳川七代将軍吉宗によって移築された江戸の雰囲気を残す境内。

アクセス

東京都港区赤坂6-10-12

東京メトロ千代田線「赤坂」

東京メトロ日比谷線大江戸線「六本木」

東京メトロ南北線「六本木一丁目」

東京メトロ銀座線「溜池山王

探訪レポート

赤坂氷川神社は、商業地やビル群からは少し離れた場所に、突如ポツンと現れます。中に入ってみると、境内はかなり広くて、鬱蒼とした木々が周囲の視界を遮るので、何だか東京のど真ん中にいる感覚ではなくなります。赤坂は、建造物や通路を隅々まで整備した感じの、スタイリッシュな統一感のあるデザインの神社が多いのですが、ここは自然というか、昔ながらという雰囲気を感じます。

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訪れたのは夏で、手水舎にほおずきが飾られていました。心まで清められてしまいますね。

創建は天暦5年(951年)ですから、千年以上の歴史があります。近江国甲賀の天台僧、連林僧正という人が創建したとなっています。この創建に関しては不思議な伝説があります。連林僧正が夢の中で老人に「私を掘り起こして安置してくれたら、この地の守護神となる」と語りかけられ、目が覚めてからその地を調べると地中から十一面観音像が現れた。連林僧正はその地に社を建てて観音像を安置した。その地というのは、現在の赤坂氷川神社の場所ではなく、武州豊島郡人次ヶ原(旧赤坂一ツ木町。現在の赤坂4丁目あたり)というところです。これが社伝による創建となっているのですが、天台僧侶が観音像を安置したというのなら、寺なんじゃないのかな? と思ってしまいます。なぜ、それが氷川神社なのでしょうか?

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創建にまつわる不思議は置いておいて、この神社が都心の神社の中でも「昔ながら」の雰囲気を持つ理由は、関東大震災東京大空襲を切り透けているからだと思われます。現在の境内は亨保14年(1729年)に徳川七代吉宗が、将軍職に就くに際に、この地に移設したものです。江戸時代の建立物が見られる貴重な場所ですが、この本殿も何だか神社というよりお寺っぽい屋根です。とはいえ、ここ赤坂氷川神社は、「江戸七氷川」という江戸の街にあった七つの氷川神社の中でも筆頭格の神社で、以前ご紹介した「東京十社」のひとつでもあります。

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お祀りしているのは、素戔嗚尊(すさのおのみこと)、奇稲田姫命(くしなだひめのみこと)、大己貴命(おおなむちのみこと)です。これは代表的な氷川信仰の組み合わせで、他に素戔嗚尊を主神とする信仰に祇園信仰がありますが、祇園信仰の方は神仏習合牛頭天王に対する信仰という色合いが強く、氷川信仰は日本神話の素戔嗚尊に対する信仰という感じです。詳しくはいつか大宮氷川神社氷川神社の総本社)を訪れたときにでも語れればと思いますが、氷川神社は、日本武尊の東征と出雲族に大きな関係があって、奥多摩秩父の山岳地帯、荒川の流域に集中しています。

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素戔嗚尊はやんちゃで困ったちゃん属性と、英雄属性を併せ持つ神で、厄除けや武運長久などの御神徳があるとされています。一緒に祀られている奇稲田姫命は、素戔嗚尊が八岐大蛇(やまたのおろち)を倒して救い出し、妻にした神です。縁結びとかの御神徳は、夫婦神がセットでお祀りされているからです。大己貴命は、これまでに何度も登場していますが、地の主神である、大国主命(おおくにぬしのみこと)の若き日の名前です。大己貴命は、素戔嗚尊奇稲田姫命の子孫に当たりますので、家内安全や子孫繁栄のご神徳があるとされています。

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こちらは山口稲荷という末社です。赤坂氷川神社には、かつては別々後にあった別々の神社が末社としてこの地に移されて来たものが多々あります。山口稲荷も、元々は別の場所(山口邸内)にあったものとのこと。他にも桶新稲荷、西行(さいぎょう)稲荷、四合(しあわせ)稲荷など、稲荷神社がたくさんあります。四合稲荷は、勝海舟が名付けたという名の通り、四つの稲荷神社を合祀したものですが、それでも各地からこの地に移される稲荷様が増えて、現在は七つの稲荷神社が合祀されているそうです。

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こちらは九神社といって九社の神社が合祀されています。天祖神社春日神社、鹿島神社八幡神社諏訪神社秋葉神社厳島神社金刀比羅神社、塞神社という九社です。錚々たる神社ですが、塞神社だけはあまり聞かない神社ですが、猿田彦命(さるたひこのみこと)と天鈿女命(あめのうずめのみこと)の夫婦神に対する信仰のようです。

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こちらの祭器庫には、神輿が安置されています。江戸時代に何でも番付にすることが流行ったのですが、諸国祭礼番付というものがあります。江戸のお祭りは東の番付に列記されていますが、横綱山王権現の天下祭、神田明神の御用祭。赤坂氷川神社の御例祭は、江戸ではその次の三番目に数えられていました。神輿と山車が巡行するというお祭りだそうですが、時代の流れと共に廃れていってしまい、山車は出なくなり、神輿も氏子町会所有のものだけになってしまったそうです。ところがそこから復活の道をたどることになり。氏子町会や地元企業、商店、さらには港区が団結してNPO法人まで作って神輿と山車が巡行するお祭りを復活させています。素晴らしいですね。

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境内には包丁塚がありました。高級料亭や有名飲食店が多い街ですので、年に一度、10月には料理人のための包丁塚祭という神事が行われます。

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港区指定文化財のじゅれい400年超のいちょうの木です。何だか精霊が宿っている感じしますよね。それも凄いおじいちゃんの。ふぉっふぉっふぉっ……とかいう笑い方する。境内は木々に覆われていて、別空間という感覚を味わえます。スタイリッシュな今どきの神社に飽きたら、こういう場所がおすすめです。

 

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