寺社探訪

寺社探訪とコラム

「居住エリアで火葬費用が違う」

同じ東京都でも、住んでいるエリアで火葬費用が違うと聞くと、不公平な気がします。中野区でも品川区でもコンビニのチキンは同じ値段なのに、火葬費用は違います。百聞は一見に如かず。20~30名参列のお葬式を想定して、東京都内にある火葬場をピックアップして、利用料金を比べてみましょう。

(※  写真はフリー素材です)

臨海斎場(大田区

大田区・品川区・港区・目黒区・世田谷区の共同事業として運営されています。併設式場もあります。組織区の5区の住民以外の方も利用できますが、別料金でかなり割高になります。また、大田区の臨海エリアにありますので、組織区内住民でも遠すぎて利用しない方もいます。

通常の火葬にかかる費用 

※( )は組織住民以外

火葬料金:44.000円 (88.000円)

控室料金:20.000円 (60.000円)

骨壺代:無料

併設式場(式場+遺族控室+会食室):

100.000円 (302.000円)

 

東京博善(町屋斎場・四ツ木斎場・落合斎場・代々幡斎場・桐ヶ谷斎場・堀ノ内斎場)

廣済堂グループの東京博善株式会社が運営する6か所の火葬場で、23区内住民の70%が利用しているとのことです。民営火葬場なので、居住地域による制限や区別はありませんが、炉前の広さや豪華さによって火葬炉にランクがあります。併設式場も広さによって複数あり、それぞれ料金が変わります。

http://ttps://www.tokyohakuzen.co.jp/funeralhall/#funeral_list

現在は燃料高騰による燃料費特別付加料金となっています。この特別付加料金がいつ変更になるのかはわかりません。

通常の火葬料金

 最上等:87.200円

 特別室:119.700円

 特別殯館:157.200円

 貴賓館:292.200円

控室料金:40.700円(広さにより変動)

骨壷代:13.970円(種類により変動)

併設式場:269.500円(広さにより変動)

 

府中の森市民聖苑(府中市

比較のために、東京都市部の市営斎場を代表して、府中市営の府中の森市民聖苑を見てみましょう。こちらは府中市民以外は利用できません。併設式場もあります。

 

通常の火葬料金:無料

控室料金:無料

骨壷代:販売していません。

葬儀社で買うと10.000円~14.000円程度で買えると思います。

併設式場(白木祭壇含む):

大式場(140席)1日50.000円

中式場(90席)1日25.000円

小式場(50席)1日15.000円

通夜と告別式の2日間利用する場合は2倍になります。併設式場には白木祭壇が常設されており、式場使用料に祭壇の利用料金も含まれています。

 

比較してみると

単純かつ大雑把に、併設式場を借りて通夜とお葬式と火葬をした場合の火葬場費用(火葬料金+控室料金+骨壷代+式場使用料)を比較してみます。

臨海斎場:164.000円(組織外住民:450.000円)

東京博善:370.670円

府中聖苑:40.000円(白木祭壇込・小式場利用)

これは施設の利用料で、実際には葬儀社に依頼する訳ですから、葬儀社の人件費や祭壇や棺や車両や食事や返礼品などのお葬式費用と僧侶へのお布施などがかかります。東京博善府中市民聖苑の差額がものすごいですが、更に府中市は祭壇込みの料金で、おそらく同等の白木祭壇を葬儀社に依頼すると25万円以上はかかると思います。つまり東京博善府中市民聖苑は、施設を利用するだけで60万円ほどの差が生まれているということになります。

葬儀社は各社様々なサービスと料金で競合他社と勝負をしているので、利用者は希望に見合った葬儀社を選んで依頼することができます。しかし、火葬場は居住エリアで大体決まってしまいますので、これほど差があるのは不公平に感じます。

 

全都民が公営火葬場を利用できるように!

かつて石原知事が尖閣諸島を東京都で購入しようとしましたが、領土と同じく、火葬場のような社会インフラ施設も、国や自治体が権限を持つべきだと思います。きっと電力会社も国営であれば、高すぎる電気代に生活が狂わされている現状も、少しは和らいだのかもしれません。35℃を超える猛暑日に、年金暮らしのお年寄りが電気代が怖くて冷房を使えず熱中症で亡くなるというのは本当に忍びないです。そのうち、家族が亡くなっても火葬代が払えなくて遺棄してしまうなどということがあるかもしれません。

臨海斎場のように複数の自治体で共同運営も良いと思いますし、立派な施設でなくても構わないですし、万民が等しく利用する公共サービスとして黒字でなくても良いと思います。施設の所有と運営が自治体であれば、実務的な管理は民間に委ねても構わないと思います。ちなみに東京都民なら誰でも利用できる都営火葬場がひとつだけあります。江戸川区に……。そして、23区住民の70%が利用する東京博善は、現在中国企業の傘下にあります。資本が変わってからは相次ぐ値上げで、公営斎場との料金の差は開いていく一方です。また、売上UPのために控室だった場所を式場に変えていて、駐車場不足が深刻になっています。民営企業が利益を求めて料金設定することも、海外資本が日本で企業運営することも経済の摂理だと思いますが、だからと言って、負担に耐えられない人はどうしたら良いのでしょう? 現在東京博善以外に、23区内には戸田葬祭場、多摩地域には多磨葬祭場という民営火葬場があり、やはり東京博善に追従して値上げが行われています。比較的都心に近い方々に、利用できる公営火葬場が無いという現象になっています。「ワシら都会人」という自負だけでは数倍にもなる火葬費用を負担できませんよね。ただ住んでいるエリアによって民営火葬場を利用するしかない人々は、この不公平を受け入れるしかないのが現状です。自治体の長や議員さんたちは早く行動を起こしてほしいです。

 

※参考資料

市区民火葬場・広域市区火葬場が無い市区

江東区荒川区、足立区、葛飾区、台東区墨田区中央区、北区、千代田区、文京区、豊島区、新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区板橋区、狛江市、調布市武蔵野市三鷹市西東京市東久留米市清瀬市小平市小金井市国分寺市東大和市東村山市

 

※参考資料

市区民火葬場・広域市区営火葬場がある市区

臨海斎場(大田区、品川区、港区、目黒区、世田谷区)

府中の森市民聖苑(府中市

東京都営瑞江葬儀所(江戸川区周辺)

 

立川聖苑(立川市国立市昭島市

 

南多摩斎場(町田市、日野市、八王子市、多摩市、稲城市

 

日野市営斎場(日野市)

 

八王子市営斎場(八王子市)

 

瑞穂斎場(瑞穂町、羽村市福生市入間市武蔵村山市

 

青梅市民斎場(青梅市

 

ひので斎場(あきる野市、日の出町、檜原村奥多摩町

 

 

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