寺社探訪

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天台宗 井の頭弁財天

天台宗 井の頭弁財天 目次

名称・寺格

井の頭弁財天と称します。天台宗 明静山 圓光院 大盛寺が別当寺(本坊)として管理運営しています。

創建

天慶年間(938-947年)に源経基によって創建されました。

本尊

弁財天

みどころ

井の頭公園内の井の頭池と一体化するように建っています。風景が非常に美しく歴史もある弁天堂で、公園を訪れる人々でいつも賑わっています。銭洗いもできます。

アクセス

東京都三鷹市井の頭4-1

JR中央線「吉祥寺」徒歩5分

探訪レポート

人々で賑わう井の頭恩賜公園を抜けて、井の頭弁財天にやってまいりました。平日の午後でしたが、沢山の人で賑わっていました。正面から橋を渡って入ると左手に受付兼授与所があります。線香がずっと炊かれていました。橋で繋がれた狭い島になってます。上野公園の不忍池と弁天堂の感覚ですが、こちらの方が狭いです。

真正面に弁天堂が現れます。お祀りされている弁財天は、延暦8年(789年)伝教大師最澄の作とのことです。弁財天は仏教以前からあるインドのヒンドゥ教の女神サラスヴァティが、仏教に取り込まれて仏教を守護する天部の仏となり、日本に伝わりました。日本に伝わる過程や伝わってからの歴史の中で、吉祥天と習合したり、神道市杵島姫命と同一視されたり、弁才天が弁財天になってお金の仏様になったりと、日本独自の変化をしています。

こちらの狛犬、独特な表情をしています。どこか惹かれてしまいます。よく見る弁財天はヒラヒラした衣を纏い、琵琶を奏でる姿です。こちらの弁財天は、八臂(はっぴ:手が8本)の坐像で、手には様々な武器を持っているそうです。秘仏となっていますが、12年に1度、巳年の数日間に御開帳されるそうです。公式サイトに弁財天は仏様なので神社ではなく寺院ですから柏手を叩かないでと書かれていましたが、ほとんどの方が柏手を叩いてお参りしていました。宗派の差に厳格な葬儀業界で働く私には、真冬に水着で真剣にスキーをする違和感がありますが、カタチより気持ちですね。神仏習合は日本の歴史で、日本人のアイデンティティです。ぶつかって争わず、受け入れて融合する国民性を私は素敵だと思います。

こちらが、銭洗弁財天です。そもそもはインドの神サラスヴァティを漢訳すると弁才天になるそうですが、日本で「才」と「財」が入れ替わり、お金に関する信仰が加えられました。

こちらは宇賀神と呼ばれる神で、頭は人で体は蛇になっています。当ブログで貫井神社を訪問した際に、弁才天と水と蛇はセットになっているというお話をしましたが、日本三大弁天のひとつに琵琶湖に浮かぶ竹生島宝厳寺がありますが、宝厳寺の本尊である弁才天の頭の上に宇賀神が乗っかっています。井の頭弁財天の宇賀神像は「我こそは弁才天の化身なり」と池に入水して白蛇になったという首に鱗がある娘を偲んで、供養のために建立されたそうです。

七井不動尊です。弁天堂の賑わいに比べてひっそりしています。不動堂の左側に小さな石像が置かれていますが、仏教的な石像の頭の上にとぐろを巻いた人面の蛇が乗っています。こちらも宇賀神ということなのでしょう。

井の頭弁財天を管理運営しているのは、井の頭公園の外側にある天台宗大盛寺です。現代社会の組織感覚ですと、まず大盛寺があり、その内部構造に、例えば釈迦堂や地蔵堂や不動堂や弁天堂などが設置されると捉えがちです。しかし中世の寺院の成り立ちは違ったパターンが主流です。まず信仰ありきというか、仏像ありきで寺院が建立されることが多いのです。浅草寺を例にとると、漁師の網にかかった観音像をお祀りするお堂を造り、それを管理するために寺院が整えられたという成り立ちです。特に〇〇不動尊とか、〇〇薬師と称する寺院はこのパターンが多いです。まず仏像がどこかから掘り起こされたり、高僧によって授けられたりして、とりあえず草庵などに安置されます。その仏像が人々の信仰を集めて、地頭や武将などの有力者によって伽藍が整えられて寺院となっていきます。

こちらが大盛寺です。予想通り門が閉まっていました。大盛寺の創建は不詳とのことですが、寺院になったのが承応元年(1652年)と伝えられています。一方で井の頭弁財天は天慶年間(938-947年)に源経基によって創建されています。弁財天が先の創建で、天台宗を日本に伝えた伝教大師最澄によってもたらされた弁財天像が安置されています。

この井の頭池の周辺は武蔵野台地に見られる旧石器時代縄文時代の遺跡群があり、竪穴式住居や石器類が発掘されています。神田川の水源として江戸庶民の生活を支えた井の頭池ですが、何千年・何万年も以前から、この水を求めて人々が集まっていたのです。現在も公園内は様々な目的で多くの人々が集っています。あらゆる物に宿る精霊を信仰した縄文人が大切にした場所ですから、目に映る景色に縄文時代から続く神聖な何かを感じながら、お参りするのも一興ではないでしょうか。

 

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