寺社探訪

寺社探訪とコラム

貫井神社

貫井神社 目次

名称・旧社格

貫井神社と称します。旧社格は村社です。

創建

天正18年(1590年)に、水神を祀るために貫井弁財天として奉祀したことが始まりとされます。

御祭神

市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)

大巳貴命(おおなむちのみこと)

みどころ

豊富な湧水があり、境内には池がいくつか造成されて常に水が流れ清々しい空気となっています。ここを中心に縄文人が生活していた歴史がありますので、数千年前に思いを馳せられる神社です。

アクセス

東京都小金井市貫井南3-8-6

JR中央線武蔵小金井」徒歩25分

探訪レポート

国分寺崖線沿いにある貫井神社に行ってまいりました。狭い道を結構な時間歩きましたが、ハケの道は趣があるので退屈はしませんでした。広めの駐車場もありますので、行事のない日であれば、停められると思います。おそらく大規模な改修工事をしたのだと思います。きれいな神社だなぁというのが第一印象です。崖沿いの小道に突如現れるから余計に「おぉ~」という驚きがありました。

きれいな庭と池に囲まれた階段を上がると、鳥居があります。境内もとてもきれいに整備されていますが、貫井神社は宮司のいない神社で、市内の小金井神社が祭儀を運営しています。

手水舎には紙垂としめ縄が張られていて、花が飾られていました。何かの行事があったのかも知れませんね。東京都の湧水57選に選ばれた湧水が豊富に湧き出していて、境内は池がたくさんあって清々しいです。この湧水が豊富で枯れることがなかったので、黄金井(こがねい)→小金井と地名の由来になったそうです。また夏は冷たく冬は温い(ぬくい)ことから貫井の地名由来とされています。

火除橋と池と庭です。造り込んだ感は満載で、まだ新しいので風情もこれからな感じですが、しっかり作り込んで、やり過ぎでなくて、季節や気候によって、すごく映える写真が撮れそうですよ。

橋を渡ると拝殿です。市杵島姫命本地仏は弁財天)を祀っています。そもそも豊富な湧水がこの地のシンボルですので、水の聖地として弁財天が祀られています。貫井弁財天というのが創建時の名称です。明治維新神仏分離令のため神社で弁天を名乗れなくなり、垂迹神市杵島姫命を祀る厳島神社と改します。その後、村内に鎮座していた貫井神社を合祀して、貫井神社と改称します。

社殿は昭和60年に火災で焼失し、翌年に再建されたものだそうです。まだ新しい雰囲気がしますが、これから良い味が出てくるところですね。拝殿内には白蛇の大きな絵が飾られていて、白蛇伝説が語られています。辨財天と蛇と水はワンセットの信仰になっている場所が多く、白蛇は辨財天の使いとされています。境内の何処かにいるとされていますので、探してみるのも一興です。

境内に長い階段があります。ハケ下からハケ上にあがる階段のようです。地形的には武蔵野台地の崖に囲まれた湧水という感じで、ハケ上の武蔵野台地には貫井遺跡などの縄文時代の遺跡が広がっています。全て調査できないほど大きな遺跡群で、50件の竪穴住居跡や様々な縄文土器や石器が出土していますが、周辺にもっと広がっていると推定されています。

階段を上がった踊り場にお地蔵様がいらっしゃいました。元禄12年(1699年)に貫井村の地蔵講中51名が建立したものです。神社に地蔵など違和感ですが、私は神も仏も有り難いという信仰は嫌いではありません。

と思ったのも束の間、不動尊が祀られていました。不動明王は仏教ですが、先述の地蔵講中と同様に不動講などを作って信仰したので、地域の信仰ということで、貫井神社に祀られたのでしょう。おそらくは地域の不動講の方々によって他の地に不動堂だけ建立され、都市開発などにより貫井神社境内に移されたのでしょう。

更に上がっていくと、愛宕神社がありました。由緒は不明とのことですが、防火の神様が祀られていることに、地域の方々の願いが込められているように感じます。

更に上がると八雲神社があります。こちらは他の場所から貫井神社の境内に移されてきたそうです。八雲神社祇園信仰ですから、牛頭天王(=スサノオ)を祀る神社です。小さな社ですが、木の皮葺きになっていて精巧に造られています。境内社は以上なのですが、境外社としてもうひとつ弁天社があります。貫井神社から徒歩で10分ちょっと歩いた公園の中にあるのですが、以前は貫井神社が上弁天、公園の弁天社が下弁天と呼ばれていました。下弁天の方でも湧水が湧いていたそうですが、現在は枯れてしまったそうです。

それにしても整えられたきれいな庭です。宮司不在の神社とは思えませんね。奥に見えるのは真言宗豊山派の真明寺です。宮司不在と言っても、氏子組織はしっかりしていますので、年中行事はきっちり行われています。例大祭には神輿も太鼓も登場します。御朱印や授与品も求められますが、ご祈祷はできないようです。結局小金井神社から神職さんがやってきて執り行うので、フリーでいつでも受付けている祈祷ではなく、日時を決めて様々な行事として行われているようです。ともあれ、貫井神社は散歩で訪れるのに最適な神社です。フリーライター武藤郁子さんの縄文神社という書籍に、縄文時代からの神社として貫井神社が紹介されています。国分寺崖線という自然が造り出した変わった地形があって、そこに湧水が溢れ、あらゆるものに精霊が宿ると考えていた縄文の人々が集まったらどうなるでしょうか。水の聖地となるのは必然ですよね。枯れてしまっては家族や一族の命に関わるので、水の精霊を恭しく祀り、祭儀を行って祈っていたことでしょう。

 

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