寺社探訪

寺社探訪とコラム

小金井神社

小金井神社 目次

名称・旧社格

小金井神社と称します。そもそも天満宮と称していましたが、明治維新で天満天神と改称し、更に明治3年に小金井神社と改名しました。

創建

元久2年(1205年)、武蔵野の開拓に際して、里人が菅原道真の威徳を偲んで天満宮を建てたそうです。

御祭神

菅原道真

御神徳

学問の神様として信仰を集めています。

みどころ

住宅街に突如現れる神社です。駅からもそこそこの距離があり、「はけの道」という散歩コースがあります。周囲は野川が流れ緑が豊かなので、散歩目的で訪れると良いと思います。

アクセス

東京都小金井市中町4-7-2

JR中央線武蔵小金井」徒歩12分

探訪レポート

このあたりは東京都が自然資源として指定している「はけの道と湧き水」があるエリアです。「はけ」とはいわゆる武蔵野地方の方言で、全国的には様々な呼び名があるそうです。ここで言う「はけ」は国分寺崖線のことで、太古の昔に古多摩川(こたまがわ)という川が長い年月をかけて削った崖です。この古多摩川は現在では地層の下に沈んでいて、その上に水をよく通す富士山の火山灰でできた関東ローム層があります。古多摩川の層の下には水を通しにくい粘土層の東京層があります。古多摩川の層は武蔵野礫層と言って、大きな河原の石が積もった層です。なのでこの層に地下水が溜まって、色んなところから湧水として地表に出てくるのだそうです。はけの道周辺は空気が湿っていて、緑が豊かというのはそういう理由です。

非常に新しい拝殿ですね。こちらは令和元年に御代替奉祝記念事業の一つとして建設が始まり、令和2年に完成したばかりのものです。生成りの美しい拝殿です。祀られているのは菅原道真です。かつては天満宮と称していたのですが、氏子地域が広く、小金井市の総鎮守としての意味合いが強くなって、小金井神社に改名したとのことです。

神社では寺院の本尊のように、あまり人型の像は本殿に安置しないのですが、菅原道真のように実在の人物だと、その像をお祀りすることがあります。宝暦元年(1751年)当時の名匠であった、江戸神田の粉川市正康信に請い、道真の坐像(42.4cm)を彫刻させて納め、現在でも御神体としているそうです。

天満宮だから牛がいるのですが、どうも違和感を感じます。首が長いのか、頭が小さいのか、色々考えたら、体が痩せ過ぎているという結論に至りました。800年間人々が撫で擦って痩せた、というのではなさそうです。牛というよりは犬くらいのバランスですが、平安時代の牛はこういう姿だったのかもしれません。

こちらも新しい社殿です拝殿の新築だけでなく、御代替奉祝記念事業として境内の整備も進めているとのこと。水天宮として、伊邪那岐命伊邪那美命、天之御中之神を祀っています。全国の水天宮の本社である久留米市の水天宮や、その東京支店である中央区の水天宮とは御祭神が違っていますが、そういう水天宮もあるとのこと。とはいえ、神産みの夫婦神と神々の祖先神ですから、子授け・子育てに特化していますね。小金井市の総鎮守として、地域の方々の安産祈願ができる神様が望まれていたんですね。子授け・安産祈願といえば水天宮ですから。

こちらは稲荷神社です。宇迦之御魂神がお祀りされています。稲荷神社は五穀豊穣の神様なので、農業国だった日本では全国どこにでもあります。現在でも家の庭に稲荷社を設置している方は見られますが、住宅事情や社会情勢から少なくなりつつあります。地域の住民たちが維持できなくなった家庭の稲荷社を、この小金井神社の稲荷社に合祀してきたそうです。

本殿の奥に弓道場があります。練習中でしたので遠目に覗いただけですが、神社と弓道はよく似合います。小金井神社境内に、小金井市弓道連盟の方々が整地して手作りで作り上げた弓道場で、会員になれば毎日朝から利用できるとのことです。

石臼塚がありました。これまでに見た石臼塚の中でも、芸術点が一番高いと感じました。昭和48年に石臼が各家庭にあったとは思いませんが、昭和48年に奉納されました。

楽殿には酒樽が奉納されていました。9月に例大祭が行われるので、その際には使用されるのでしょう。さて、ひと通り境内を回りました。もうひとつ写真が撮れてませんが、熊野神社疱瘡神社)という境内社があります。こちらの主祭神伊邪那岐命伊邪那美命の夫婦神です。熊野神社の御祭神といえば、家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)や、神産みの夫婦神は色んなところで祀られているので、速玉男命(はやたまのおのみこと)などが有名ですが、伊邪那岐命伊邪那美命を祀る神社も結構あります。この熊野神社の社は二重になっていて、外側の社は、戦前の国民小学校(現在の小金井第一小学校)で奉安殿(教育勅語を納める倉)として使用されていたものだそうです。小金井神社はその名の通り、菅原道真を祀っていながら、小金井の人々の歴史を境内に吸収して受け継いでいるのだなと思いました。

 

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