寺社探訪

寺社探訪とコラム

臨済宗建長寺派 正福寺

臨済宗建長寺派 正福寺 目次

名称・寺格

金剛山 正福寺と称する臨済宗建長寺派の寺院です。寺格は特にありません。

創建

弘安元年(1278年)、鎌倉幕府の第8代執権北条時宗により開基、建長寺の僧石渓心月によって開山されました。

本尊

千手千眼観音

みどころ

応永14年(1407年)に建立された国宝の地蔵堂が存在します。年に3回内部を開放していて、写真撮影もできます。

アクセス

東京都東村山市野口町4-6-1

西武新宿線東村山市」徒歩15分

探訪レポート

東村山にやってまいりました。コロナ禍初期に著名人の犠牲者として社会に衝撃を与えた志村けんさんの銅像建立で話題になりました。駅から住宅街を進んで歩いていくと、右に神社の鳥居、左に寺院の山門という場所に到着しました。山門は上( ↑ )のように、屋根が湾曲して反り返っています。魚眼レンズではないですよ。これは禅宗特有の建築様式ですので、禅宗寺院を訪れた際にはチェックしてみてください。こちらの山門は元禄14年(1701年)の建立で、東村山市文化財に指定されています。

山門を入って左側に大きな板碑がいくつがありました。一番左のものは顕魂碑と書かれています。

その中に祠の中に納められた板碑があります。説明文によると、こちらは貞和5年(1349年)の4月8日に、帰源という法名の人が、生前に死後の冥福を願って建立したものとのこと。4月8日は釈迦の誕生日ですね。信心深い方だったのでしょうね。相当な歴史のあるものですが、興味深いのはこの石碑が橋として使用されていた時代があり、庶民から念仏橋と呼ばれていたそうです。

一見してただのお堂ではないオーラが漲っています。こちらが国宝の正福寺地蔵堂です。都内の国宝建築物は、この正福寺地蔵堂迎賓館赤坂離宮のみというプレミア感満載のお堂となっております。応永14年(1407年)に建立され、詳細は難しくて理解できないのですが、鎌倉時代禅宗様式として普及した土間仏堂というもので、その中でも正福寺地蔵堂は二重仏堂と言い、実際には一階建てですが、裳階(もこし)が両脇に付くことで、二階建てのように見えるというものです。

堂内には本尊として木造の地蔵菩薩立像がご安置されていて、周囲に小さな地蔵菩薩像が数多く並んでいます。そのことから千体地蔵堂と呼ばれています、祈願をする人はこの小地蔵尊を1体借りて持ち帰り、祈願が成就したら、もう1体を添えて奉納するという無限増殖システムだったのだそうです。年に3度内部を公開しているので、特に寺社建築マニアの方々にオススメです。

地蔵堂の隣に屋外の小地蔵奉納スペースがありました。左の青い看板に、取扱店の名前と場所が書かれていました。正福寺で求めるのではなく、東村山市内の複数のお店で購入できます。こちらは福祉作業所で作られ、正福寺で開眼供養した小地蔵に祈願を納めて持ち帰るというもの。1体3000円です。翌年の地蔵祭りでこの棚に奉納して新しい小地蔵尊を求めるという無限増殖システムです

さて、隣の神社との間に塀も垣根もないので、正福寺が管理している神社だと思います。こちらは八坂神社なのですが、東村山には正福寺が別当寺を務めていた栄町の八坂神社が、西武多摩湖線八坂駅付近にあります。栄町の八坂神社の例大祭では、正福寺隣の八坂神社と栄町の八坂神社の間を練り歩くそうなので、栄町の八坂神社が兼務している可能性もありますが、敷地が繋がっているので、正福寺かなと思います。

地蔵堂と八坂神社の間を奥に伸びる通路があります。石畳の参道にきれいに植木が整備されています。正福寺の本堂はラスボス感がありますね。

きれいな植木を抜けると、右手に十三仏が安置されています。初七日の不動明王から各忌日を担当する仏様が、三十三回忌の虚空蔵菩薩まで並んでいます。なぜか最初の不動明王だけエグい造りになっています。

こちらが本堂です。御本尊は地蔵菩薩ではなく、千手千眼観音菩薩です。こちらの本堂エリアには鐘楼堂もあり、文化財よりも寺院としての機能があるようです。毎年11月3日に東村山市教育委員会や商工会、青年会議所の後援で「地蔵まつり」が行われます。地蔵堂が御開帳されて堂内を見学することができるほか、雅楽と「浦安の舞」の披露があるそうです。「浦安の舞」というのは昭和天皇が詠んだ和歌を題材にした平和を祈る舞で、神社の巫女が神楽で舞っているのはだいたい「浦安の舞」であることが多いです。お寺にも巫女がいるのかというとそうではなくて、雅楽と舞は野口雅楽部という、野口地域の青年会が大正時代から活動の一部として取り組んできた伝統あるものだそうです。こんな風に青年会が雅楽と舞の伝統を受け継いでいるのも、東京では東村山のこの地域だけだそうで、雅楽と浦安の舞は市の文化財に指定されているそうです。永く受け継いでいってほしいですね。

 

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