寺社探訪

寺社探訪とコラム

「ペット供養」

二年前に飼っていた猫を亡くしました。晩年は病気で苦しい思いをさせましたが、最後の最後まで頑張って生き抜いてくれました。その最後のひと息が絶えたとき、私は腕の中で眠る愛猫に、感謝の気持ちを超える、大きく神聖な負債を抱えたような気持ちになりました。猫は人の社会に生きているのに、人の言葉を話せませんから、私の選択が猫の生涯を決めてしまいます。私が与えた楽しかったこと嬉しかったことより、辛かったこと苦しかったことの方が多かったのではないかと、それが私に残された神聖な負債です。その負債を精算すべく供養を続けておりますが、私の供養に猫が満足してくれているかはよくわかりません。ということで、今回はペット供養のお話です。

 

息を引き取った直後

愛犬愛猫が亡くなると、棺に納めて火葬するという、人と同じ流れで送る方がほとんどだと思います。人と同じで、亡くなった瞬間から腐敗が始まります。死後硬直もしますし、体液が出てきたりもします。私の猫は自宅で私の膝の上で息を引き取りました。癌でかなり痩せてしまっていたので、体液が出ることはあまり心配いらないと思いました。ただ、知人から犬猫専用の品質の良い納体袋(腐敗を防ぐために体ごと納める袋状のもの)をオススメされていたのですが、私がどうしても死後の準備をする事ができなくて、何も用意していませんでした。まず最初に体を拭きました。病気で体を拭くことに耐える体力も少なくなっていたので、痛みから開放された猫の体を拭くことにしました。クシを通すとごっそり毛が抜けてしまうので、あまりピカピカにはできませんでしたが、生前の苦しかったことを拭き取るつもりで、お湯で濡らして絞ったタオルで拭いて、ドライヤーで乾かしました。いつも猫が寝ていたソファの上にペットシートを敷いて、その上にいつも使っていたタオルと毛布を敷いて猫を寝かせました。お菓子を頂いた時に捨てずに取っておいた保冷剤を冷凍庫から出して、ティッシュでくるんでお腹の周りに置いて、念のためおしりの下に脱脂綿のシートを敷きました。最後に上から毛布をかけて、とりあえず安置することができました。私は葬儀業界で働いているフリーランスで、なんとなく家に葬祭用品があります。廃業した葬儀社から引き取った枕机があったので、猫を安置した前に置いて、お水と、好物だったご飯やおやつを並べました。こういった自宅での安置の仕方は自由ですので、思いつく最良の方法で安置してあげると良いと思います。大型犬などで庭で外飼いされていた場合も、丁重に安置して尊厳を守っていただきたいです。

 

納棺

保冷剤などで体を冷やして、室内も涼しくしておけば、急激に腐敗が進む心配は無いと思いますが、人間と一緒で、暑い季節や太っていたり水分が多いと腐敗しやすいです。私の猫が亡くなったのは7月下旬で暑い時期だったので、すぐに納棺することにしました。犬や猫を納める棺は、市販されている専用のものがあります。ダンボール製が多いです。ペット葬儀社によっては無料でサービスしてくれるところもあります。ダンボールの他には籐の籠のような棺や、人と同じような木材の棺、私がオススメされていたハイテクの納体袋など、様々なものがあります。私はホームセンターに行き、ダンボールを買ってきて棺を手作りしました。これには訳があって、私の猫は幼い頃から猫ベッドや猫ちくらを使用したことがないのです。正確には、何度買い与えても、トイレとして使ってしまって、ソファや私のベッドの上を居場所にしていました。自分専用の場所を作ってあげたいとは思うものの、買い与えるとトイレにしてしまう。そこで、トイレにしてもすぐにきれいにできるように、床が取り替え可能なダンボールハウスを手作りしたのです。トイレにして使ってしまうこともありましたが、段々とそこを自分の家として気に入ってくれて、それ以来数え切れないほどのダンボールハウスを作りました。猫の年齢や病気の進行に合わせて、ダンボールハウスもいろんな形のものを作りました。手作りダンボールの棺は、私にとって猫のために作る最後のダンボールハウスなのでした。ダンボールの棺が完成したら、その中に同じように、ペットシートとタオルと毛布、買ってきた保冷剤を追加して、遊んでいたおもちゃや好物のおやつも一緒に納めました。翌日には近くの花屋さんで作ってもらった小さなブーケを棺の上にお供えしました。

 

葬儀社へ連絡

今やペット葬儀も成熟した業界になっていて、様々なサービスが提供されています。大きく分けると、移動火葬車によって家の駐車場や庭で火葬するか、葬儀社の施設で火葬するかの二択になります。亡くなったペットのお迎えや家族の送迎もしてくれるところが多いです。簡単な家族葬を行える施設がある葬儀社や、寺院と提携していたり、そもそも運営に寺院が携わっていたりと、読経をしてくれるところもあります。自宅でのお通夜の飾り付けや、納棺もプロが行う湯灌(シャンプー・爪切り・トリミングなど)など、様々なサービスが用意されています。どんな葬儀社のどんなサービスを利用するかは、やはり事前に考えておくと、いざという時に困りません。私自身は様々なサービスを利用するつもりもなく、火葬と納骨施設があって、仏教寺院と提携関係にあって、私が死んでも供養が続いていくような霊園施設を探しました。私が選んだのは深大寺動物霊園です。深大寺動物霊園のレポートはこちらをどうぞ。私の猫は午後6時頃に亡くなって、動物霊園に電話をしたのは翌日のお昼前でした。落ち着いた男性の方が、とても丁寧に対応してくれました。

 

火葬・収骨方法の選択

ペット葬儀各社に共通していて、人の葬儀の場合と違っているのは、火葬と収骨の方法を選択できることです。火葬の方法は個別火葬と合同火葬があります。これは文字通りで、個別火葬は1体だけの火葬で、家族が火葬に立ち会う個別立会火葬と、葬儀社に一任する個別一任火葬があります。合同火葬は他のペットと一緒に火葬されます。収骨の方法にも立会と一任がありますが、これはどの火葬方法を選んだかで自動的に決まります。家族が立ち会う個別立会火葬の場合は収骨も家族が立ち会って個別に行われます。葬儀社に一任で火葬した場合、収骨も一任で個別になります。合同火葬はもちろん収骨は一任で、そのまま合同墓に合葬されます。立会火葬は火葬~収骨まで2時間ほどかかると思います。どの方法を選ぶかは、今後どのような供養をしていくかにもよります。自宅でお骨を安置して供養するなど、骨壷に収めたいなら、個別火葬でなければならないです。私はひとり待合室で火葬を待っているのが忍びなく、個別一任火葬にしました。最初は合同火葬で合同納骨所に合祀で良いと考えていましたが、神聖な負債を背負ったら、まだこの猫のために何かをしたいと思い、納骨壇を契約して個別に供養できるようにしました。自宅に連れて帰らなかったのは、とにかく悲しすぎたのと、時間が経ってぞんざいに扱ってしまいたくなかったからです。私の猫は神仏の加護を受けた特別な場所に安置されて、そこへ俗物の私が会いに行くのです。

 

火葬当日

亡くなった日の翌日に動物霊園に連絡し、その翌日に猫を預けに行くことになりました。一任火葬を選んだので、実際の火葬は更にその翌日になるとのことでした。お迎えに来てくれるとのことでしたが、自宅で猫を引き渡して終わりでは、なんだか猫に申し訳なくて、霊園まで自分で連れて行くことにしました。死後二日目でしたが、少し腐敗臭がしていました。私は葬儀の仕事で慣れているので、少し程度の腐敗臭は気にしないし、きっと霊園の方も気にしないとは思いましたが、猫が恥ずかしいかなと思い、途中のコンビニでファブリーズを買って、ティッシュに湿らせて棺に入れました。霊園では合同の四十九日法要が行われていて、たくさんの方が参列していました。私も1ヶ月後にはこんな風に四十九日法要に参加しているのかなと思いながら、事務所で手続きをしました。火葬棟の告別室のような場所で、職員さんが席を外してくれ、「最後のお別れをしてください」と言われました。毎日のように仕事で言っている台詞を、自分が言われることが不思議でした。静かに眠る猫の頭を撫でていると、悲しくて涙が溢れました。しばらくすると、職員さんが来て「大切にお預かりします」と私が手作りした棺の蓋を丁寧に閉じてくれました。

 

ペット供養品

ペット火葬場や霊園には、個別の納骨壇や合同の納骨堂、祈りの対象となる供養塔などがあります。私が契約している深大寺動物霊園では、個別の納骨壇と合同納骨所があり、施設の真ん中に高さ30mの供養塔が建っていて、十二支観世音菩薩像がご安置され、いつでもお線香を手向けられるようになっています。納骨壇は大きさで価格が変わります。私が契約したのは小さな区画で、骨壷がギリギリ入る高さの納骨壇です。周囲の方々の納骨壇を見てみると、区画を目一杯使って、様々な飾り付けやお供えをしています。一任火葬にしたので、職員さんが火葬と収骨をしてくれています。数日後に訪れてみると、契約した納骨壇には、白い骨壷と、お願いしていた納骨の塔婆1基と造花1基、お水入れがひとつ置いてありました。殺風景な納骨壇で、淋しさが募ります。私は葬儀業界で働いているので、白い骨壷がそのまま置かれているのはどうにも違和感があって、まずは骨壷の覆いを買おうとしましたが、スペースがギリギリで箱を被せたり箱に入れるのは無理なようでした。そこで色々調べて骨壷袋をネットで購入しました。100円ショップで小さな写真スタンドを買って、遺影写真を飾りました。好きだった「ちゅーる」とかつお節とまたたび、幼い頃によく遊んだおもちゃもお供えしました。病気で長くお世話になった獣医師の先生にお手紙を書いたら、お悔やみのお花をいただいたので、写真に撮って納骨壇にお供えしました。そのうちに周りの方々に見劣りのしない、素敵な納骨壇になりました。ネットで供養品を購入したことで、ペット供養に関する様々なチラシや案内が届きました。目を通してみると、ペット産業の成熟度に驚きます。手元供養品や、自宅で安置するための仏壇、思い出を残すための様々なアイテム、ペットロスから立ち直るためのカウンセリングやグループセミナーの案内までありました。

調べている中で、こういうのいいなぁと思ったものを3選。

 

 

その後の供養

私は猫の骨壷を霊園の納骨壇を契約して安置し、そこにお参りに行くという供養の方法を選びましたが、供養の仕方は様々でどんな方法でも良いと思います。例えば、ずっと自宅に安置したり、最初は自宅で安置して、何かの区切りで納骨壇に移したり、合同墓に合祀したりと、それぞれの考えで行うと良いと思います。利用した葬儀社、霊園などによって違ってくると思いますが、火葬した後も、利用者向けに様々な供養の場を提供しているところが多いです。提供される供養の場と、自分なりの供養の仕方とをうまく組み合わせていけば良いのではないでしょうか。私が契約している深大寺動物霊園では、四十九日法要の他、霊大祭や盂蘭盆会、彼岸法要などを行っていて、自由に参加できるようになっています。その都度案内が届きますので、忘れていても大丈夫です。四十九日法要は毎週日曜日に行われていて、先着順の申込制になっています。私の猫が亡くなった当時はコロナ対策の人数制限が厳しく、最短で3ヶ月待ち状態でした。さすがに3ヶ月後では四十九日ではなく百ヶ日になってしまいますので、私は参加を断念しました。今では人数制限対策として水曜日にも行っているようです。動物霊園の四十九日法要には参加しませんでしたが、個人で平日に四十九日のお参りに行きました。四十九日の塔婆は事務所で霊園の方が書いてくれますので、それを持って萬霊塔へ向かい、観音様の前に置いて線香を手向けてご祈念して、納骨壇にお供えしました。ちなみに一周忌も三回忌も同じ供養の仕方で行いました。せっかくなので霊園が行っている合同慰霊祭などに1度は参加したいと考えていますが、今のところ縁がなく個別に供養しています。