住所:東京都豊島区高田2-12-39
創建:天正年間(1573-1592年)
本尊:聖観世音菩薩
山手線の目白駅から学習院大学の方へ向かい、大学のキャンパスを通り過ぎたあたりの住宅街の中にあります。都電荒川線の学習院下が最寄り駅です。目青不動尊もですが、この目白不動尊も本尊が不動尊ではないのです。そして、目青不動尊は天台宗で、目白不動尊は真言宗になっています。
非常に立派な山門があります。山門の両側に石碑や石仏が建っています。本当に古そうな石像で、右側に不動明王像、左はわかりません。扁額には山号の神霊山が掲げられています。
山門を入ってすぐ左に地蔵菩薩がいらっしゃいます。きれいな像でお地蔵さんの足元に童子がいますので、水子地蔵と思われます。
その奥に鍔塚がありました、筆塚や包丁塚はよくありますが、鍔塚は珍しいです。江戸時代のもので、刀剣の供養のために建立されたそうです。
本堂の左に弘法大師像があります。托鉢姿の修行大師ですね。柵で囲われていて、花が供えられていることに感銘を受けました。
こちらが本堂です。コンクリート造りで昭和46年に再建された本堂です。本尊は聖観音菩薩となっています。真言宗寺院の本尊って大日如来や不動明王がほとんどで、観音様は珍しいのかなと思って調べてみると、観音様を本尊にしている寺院が結構たくさんありました。真言宗豊山派総本山の長谷寺がそうでした。長谷寺から勧請したのかな。説明書きには天正年間年(1573-1592年)に永順和尚が聖観音菩薩を勧請して観音堂を建立したと書かれていますが、どこから勧請したかは書かれていませんでした。
こちらは立派な庚申塔です。倶利伽羅不動庚申と称します。不動明王の持つ剣は、智慧の剣で智剣と呼ばれたり、倶利伽羅剣と呼ばれたりします。倶利伽羅剣は剣の周りに燃え立つ炎と龍が絡んでいるもので、まさにこの石像のような形をしています。庚申塔で祀られる青面金剛の化身とされているそうです。庚申信仰は神仏関係なく、中国から入ってきた民間信仰です。60日に1度の庚申(かのえさる)の日に眠ると、その人の悪業を三尸(さんし)という虫が天の神に告げ口するから、みんなで集まって眠らないでおこうという、無茶苦茶な信仰です。剣の下に彫られている三猿は、まさに告げ口されませんようにとのことで、見ざる言わざる聞かざるなのです。
こちらもお地蔵様で、水子地蔵となっています。水子を供養する像が2つも建っているということは、、、と考えてしまいます。
本堂の右側、墓地の入り口にもたくさんの石碑がありまして、こちらも見ざる言わざる聞かざるの三猿が彫られた庚申塔です。
階段を上がると六地蔵+αのお地蔵様がいらっしゃって、いよいよ不動堂になります。
こちらが不動堂です。この不動堂は、そもそも金乗院のものではなくて、元和4年(1618年)に本山の長谷寺の第四世小池坊秀算が中興した東豊山浄滝院新長谷寺という寺院だったそうです。東の豊山に新しい長谷寺とは、かなり気合の入った寺院です。まるで天台宗の東叡山のようですね。
東豊山新長谷寺は、先の大戦で消失してしまい、再建されることなく金乗院に吸収されることになりました。それでも、目白不動尊の御朱印を見ると、東豊山新長谷寺と書かれていたり、目白不動尊別当と書かれていますので、金乗院としては、あくまで目白不動尊は、東豊山新長谷寺のものというスタンスのようです。義理堅いというか何というか、、、。