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「将門の魔方陣巡礼4」

将門の魔方陣巡礼4 目次

神田神社

所在地:東京都千代田区外神田2-16-2

創建:天平2年(730年)

御祭神:大己貴命(おおなむちのみこと) 少彦名命(すくなひこなのみこと) 平将門命(たいらのまさかどのみこと)

将門との関連:将門を主祭神として祀っている神社。

そもそも神田明神は現在の将門塚あたりにあったそうです。慶長8年(1603年)江戸城拡張工事のために神田台へ遷座され、元和2年(1616年)に現地に遷座されました。将門塚のレポートに書いたように、延慶2年(1309年)時宗の僧、他阿真教上人が神田明神に将門を合祀しました。しかし、明治政府は神道と仏教を切り離し、日本を「天皇を中心とした神の国」として整えようと、神社に祀られる御祭神も天皇の祖先である日本神話の神々に指定しました。なので朝敵とされた平将門を祀ることは許されず、将門は神田神社の御祭神から外されました。昭和に入り、戦争が終わって、昭和59年(1984年)になってようやく、110年ぶりに将門は神田神社の御祭神に復帰しました。昭和50年に建立された随神門の二層目には、金箔で飾られた馬の彫刻が施されています。これは平将門の繋ぎ馬の紋章で、将門を祀る神社などに見られます。

1300年代に将門の怨念によるとされる疫病が流行し、明治維新神田神社の御祭神から外され、大正、昭和にまた将門の怨念によるとされる事故が多発しました。しかし、260年続いた江戸時代には、将門の怨念の話がない。それは、徳川幕府が将門を大切に扱ったからだとされています。神社を配して将門の霊を慰め、将門を祀る神田明神を江戸の総鎮守に据えました。家康が将門の力を利用して江戸を治めたとも言われていますが、朝敵とされた将門の一番近くで常に寄り添ってきたのが神田明神です。神田祭では大手町の将門塚へ向けて神輿が出されるそうです。

 

「新皇」になった将門

前回は藤原玄明を守るために常陸国府を攻め、ついに朝敵となってしまった将門のお話でした。今回はその続き。太政大臣で元主君の藤原忠平に通らない言い訳をしてみましたが、やはり覆水は盆に返りません。どうせ朝敵となったのなら、黙って討伐されるのを待つのも愚策と考え、将門はユートピア坂東王国の建国のために動きます。天慶2年(939年)12月、興世王の進言に従って、将門は武力で下野国上野国国府を占領し、関東全体を支配しました。国司も独自に任命し、自らのことは「新皇」と名乗り、京の天皇のことは本天皇と呼んでいたそうです。自分の国を持って政治を行うなんて、やってみたい方が多いと思いますが、希望に満ち溢れる将門の好きなようにさせてくれる朝廷ではなく、直ぐに対応が始まります。

 

将門追討軍

朝廷が最初に行ったことは、諸寺諸社に将門調伏の祈祷を命じたことでした。最初から神頼みとは弱腰な、と思うかもしれませんが、この頃は世の中の不穏な出来事は菅原道真の怨霊のためと言われていましたので、まずは道真の怒りを鎮めることから始めた訳です。天慶3年(940年)1月になって、虚偽の報告で罰せられていた源経基が許されて官位を上げて出世します。将門討伐の征東大将軍に任命されたのは藤原忠文で、翌年に藤原純友の乱を鎮圧するための征西大将軍にも任命される人です。その頃将門が何をしていたかと言いますと、逃げ回っている平貞盛と藤原惟幾の子為憲の行方を追い回していました。立ち上げた坂東王国内に一番の反逆分子が隠れていることに危険を感じていたのだと思います。しかし、貞盛と為憲はみつからず、5000の兵を動員して貞盛の妻と源扶の妻を発見したのみで、とりあえず畑仕事も始まるので、集めた兵をそれぞれの国に帰還させました。

 

将門の死

下野国押領使(軍事関係の外令官)で平貞盛の叔父である藤原秀郷の協力を得て、貞盛が兵を集めているという情報が将門に入ります。藤原秀郷は、俵藤太(田原藤太)として有名な人です。天慶3年2月になって、将門は時が経つほど不利になると考え、兵1000で先制攻撃に出ますが、敗走してしまいます。貞盛・秀郷+為憲で将門の本拠地石井に攻め込み、将門を討ち取ります。兵400のみで応戦した将門でしたが、一時は風を味方につけて撃退する勢いを見せたそうです。ところが、風向きの変化でこめかみに矢を受けて絶命したと言われています。ちなみに征東大将軍藤原忠文が到着したのは、将門が討たれた後だったそうです。

 

運命に導かれ将門が築いた坂東王国は、わずか2ヶ月で崩壊という運命となりました。貴族から武士へ時代の担い手が移っていくきっかけのように位置づけられていますが、将門亡き後も貴族の世の中が続いて、藤原道長が登場して藤原氏が栄華を極めます。源頼朝鎌倉幕府を開くまではまだ数百年ありますが、たしかにここで将門がトビラを開いたのでしょう。

 

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