寺社探訪

寺社探訪とコラム

高野山真言宗 高野山 東京別院

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高野山 東京別院 目次

名称・寺格

高野山東京別院と称します。高野山真言宗の本山、金剛峯寺東京別院という位置づけです。別名「高輪結び大師」と呼ばれています。

創建

慶長年間(1596年)に高野山の江戸在番所として開創されました。延宝元年(1673年)に幕府より土地が下賜され、高野山江戸在番所高野寺として建立されました。

本尊

弘法大師

ご利益

高輪は高縄であり、人と人を結ぶという意味で、「高輪結び大師」としてご縁が授けられるご利益が有名です。

みどころ

きれいに整備された境内と、密教らしい威厳のある本堂内の様子。ズラリと並んだ四国八十八ヶ所お砂踏みは圧巻です。

アクセス

東京都港区高輪3-15-18

JR山手線「高輪ゲートウェイ」徒歩10分

都営地下鉄高輪台」徒歩10分

探訪レポート

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高野山東京別院には、葬儀用の式場があった(今もあるのかな)ので、何度か仕事で訪れたことがあります。20年振りくらいに訪れましたが、すっかり境内が整備されていて驚きました。高輪のきれいな町並みの中にあるので、写真を撮りにきたことがあって、私がこのブログの自己紹介に使っている後ろ姿の僧の銅像は、20年程前にこの高野山東京別院で撮影した弘法大師像なのです。今も山門横に弘法大師像がありましたが、違う像のように思われました。

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高野山真言宗という宗派は、和歌山県高野山にある金剛峯寺を本山とする真言宗の最大宗派です。何故だか、関東では豊山派や智山派の寺院の方が多いように思いますが、やはり高野山と言えば空海が開いた真言宗の拠点というイメージがあります。久しぶりすぎて以前の様子を思い出せませんが、どんな風に変わったのか楽しみに山門をくぐります。

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まず目に飛び込んできたのがこちらの「四国八十八ヶ所お砂踏み」です。関東の真言宗寺院には、このようなお遍路体験お砂踏みができる寺院が結構あります。弘法大師の故郷であり、大師が修行された場所ということで、四国のお遍路という巡礼が千年以上受け継がれているのですが、お遍路で訪れる寺院の境内の砂を集めてきて、足元に敷いて四国のお遍路と同様の体験と功徳を得るというものです。実際に四国のお遍路を経験することは大変なことなので、意志があっても叶わない事情を抱えている人のために、このようなものが考えられたのだと思います。

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こちらはお百度石です。真言宗智山派成田山東京別院深川不動尊にもありましたね。不勉強で詳細はわかりませんが、おそらく、上のゴロゴロまわす石を1回毎にまわして、本堂へお参りするのだと思います。石には般若心経が刻まれていて、お参りするごとに般若心経を読み上げたことになるのだと思います。般若心経の下には回数を数える輪っかが付いていました。

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今年東京が一番春っぽい陽気なのではないかという日に訪れることができました。境内にひときわ大きな桜の木があって、シートを広げてお花見をしている方々もいらっしゃいました。

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八十八ヶ所のお砂踏みは、石塔がひとつひとつ建っていて、それぞれの寺院の本尊が写されているのだと思われます。以前TV番組で見たことがあるのですが、お遍路に憧れるご高齢の方や、途中で体を壊してしまった方など、四国へお遍路に行きたくても行けない方というのは、結構たくさんいらっしゃるようです。若く健康なうちは、神仏へ縋る気持ちは湧いてこないものですからね。高野山東京別院のように、境内に立派な石塔が造られているものや、屋内に八十八カ寺の掛け軸をかけてあるもの、そして、移動できる屏風で何処にでも設置可能なものなど、TV番組では、諦めてしまった人でも体験できる様々なお遍路が紹介されていました。

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こちらは境内社です。総称して「明神社」と呼んでいるそうです。このあたりは高野山東京別院が、本山金剛峯寺出先機関であることが色濃くなっているのですが、丹生都比売大神をお祀りしています。いわゆる比叡山延暦寺日吉大社の関係と同じで、高野山も古来は丹生都比売神社が鎮守していた場所に、空海金剛峯寺を建立しました。そこで丹生明神という神仏習合の神が登場したという訳です。

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こちらは不動堂です。まぁ、なんと申しますか、正面に陣取って、お参りが異常に長い人っていますよね。どんな思いで何をご祈念しているのか知りませんが、あまり褒められたものではありません。久々にそういう人に遭遇しました。不動堂とは関係ない話ですが、神社に多いですそういう人。さて、境内の堂宇としては、本堂の他にはこの不動堂がメインのような形で、お砂踏み所、明神社、鐘楼、社務所、墓地がある感じです。広々としたというよりは、だだっ広いという印象です。

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こちらは本堂になります。「遍照殿」という扁額が掲げられていました。東京別院の本尊は弘法大師で、弘法大師のお戒名が遍照金剛と言います。真言宗のお題目でも「南無大師遍照金剛」と唱えるのは、弘法大師のお戒名をお唱えして、「帰依します」と唱えている訳です。中は密教寺院らしく薄暗い感じで、厳格な空気が漂っていました。昭和63年(1988年)に落慶した本堂で、築34年ですが寺院としてはまだまだ新築同様と言った感じです。

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こちらが社務所です。このような寺院は、同宗派の東京支店のような位置づけですから、関東近辺の高野山真言宗の寺院の方々が勤めていたり、何かと御用をしに来る場所になりますから、社務所はかなり重要な施設で、立派というか大きな建物になっています。また、東京別院は墓地が併設されているように、お檀家を抱える寺院なので、宗派の中核というだけでなく、お檀家にとっての菩提寺としても機能しています。社務所を覗いてみると、阿字観や写経、御詠歌や書道、舞踊など、お檀家さん向けの体験教室も積極的に行っているようです。阿字観というのは、真言宗版の座禅と言うか、瞑想のようなもので、一度はやってみたいなと常々思っています。

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鐘楼です。高野山東京別院の除夜の鐘は、誰でも付くことができるそうです。実は、大昔、和歌山県に住んでいたことがあって、当時一度だけ高野山金剛峯寺に行ったことがあります。若かったので、午前2時という無茶苦茶な時間に訪れたのですが、空が明るくなってきて、戦国武将の墓地などを見学していたら、僧侶の集団が列をなして、各所で祈りながら境内を颯爽と移動している姿が見えました。バブル期の大学生だった私とは生きる世界の違う、神聖なものに見えました。現在は葬儀業界に仕事を得て、僧侶の世界の闇部分も多く見ています。それでも若い頃に見た、高野山の冷たく静謐な空気と、朝モヤに浮かんだ僧侶たちの使命感を帯びて歩く姿は、私の記憶の最も崇高な部分に今も保存されています。

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