寺社探訪

寺社探訪とコラム

「多摩川左岸 百所巡礼9」

多摩川左岸巡礼78番:日向和田 薬師堂

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JR東日本では、青梅線青梅駅から奥多摩駅までの区間を「東京アドベンチャーライン」と称して行楽キャンペーンを行っています。確かに青梅駅を過ぎると、風景だけでなく人々の生活様式が一変しているような変化を感じます。

前回歩いていました神明橋通りと青梅街道の交差点あたりに薬師堂( ↑ )が建っています。この建物はわりと新しそうです。祠がひとつだけで、扁額に薬師如来と書かれています。お参りをしていたら、先客の忘れ物が・・・

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私が訪れたのは秋も深まった冬に近い季節ですが、おそらくまだ日差しが高い季節に、ここへお参りに来て、上着を置いていった方がいるようです。きっと薬師如来様のご利益で、短いと言われる生涯を立派に全うされたことでしょう。

多摩川左岸巡礼79番:曹洞宗 明白院

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明白院の山門は茅葺屋根で非常に趣があります。こちらはお城から移築された門だそうです。「ふむふむ」と正面の階段を上がると、本堂の扉が空いていて、中で喪服を着た人とバシッと目が合ってしまいました。またまた法事中にお邪魔してしまったようです。

多摩川左岸巡礼80番:和田乃神社

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青梅街道を逆走する感じで、和田乃神社にやってまいりました。こちらはこれまでの祠のようなお社とは違って、かっちり神社の様相を呈しています。ご由緒によりますと、創建は不詳なのですが、古老の伝によると静岡県三島神社から分神して創始したとのことです。静岡の三嶋大社のことだと思いますが、三嶋大社愛媛県大山祇神社と並び、大山祗・三島信仰の総本社です。和田乃神社の御祭神は大山祇神・磐長比売神・茅野比売神です。磐長比売神大山祇神の娘で、茅野比売神は大山祇神の妻ですが、母子関係ではありません。

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かつて多摩川を挟んだ日向和田と日陰和田(現在の和田町)がひとつの和田村だった頃、和田村の総鎮守として和田明神と称していたそうです。そして、多摩川を境に和田村が分村した頃に、三島明神と称したそうです。明治維新で和田乃神社と改名し現在に至ります。上( ↑ )の写真は拝殿と昭和天皇が植えられた木です。

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摂社末社も充実していて、アパート型の境内社になっています。日向神社・波登利神社・菅原神社・柳久保神社・細久保神社・熊野神社の六社がひとつのアパートになっていて、愛宕神社八雲神社・雨祈神社の三社がひとつのアパートになっています。ここでは子ども相撲が伝統的に有名だそうで、地元の子ども会が今も受け継いでいるそうです。

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久々のキロ杭です。海から65km地点には神代橋が掛かっています。ここまで海から徒歩で到達したと思うと、よく歩いたなと我ながら感心します。

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多摩川を眺めるのも久しぶりですが、高くて足がすくみます。すっかり山の中の清流という感じです。一応多摩川に沿うように進んでいますので、川が横に見えなくてもせせらぎの音が聞こえたり、空気が冷たかったり湿っていたりと、多摩川を感じながら歩いています。

多摩川左岸巡礼81番:横吹地蔵尊

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青梅街道を進むと、いくつかの石像が並ぶ祠が見えます。中に青面金剛だとわかるものがありましたが、全部が庚申塔関連ではなさそうです。道路の曲がり角に目印に建っている感もあります。後で調べると、横吹地蔵尊と名付けられているそうです。

多摩川左岸巡礼82番:青梅 二俣尾 祠

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石神社の入口の青梅街道を渡った反対側に、なんだかわからない祠がありました。このあたりは信号もなく車がビュンビュン走っていますが、歩道もない通りに面した祠にはちゃんとお花が供えられています。

多摩川左岸巡礼83番:石神社

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石神社の鳥居ですが、しめ縄が棒状になっているのを良く見かけるようになります。無人で放置している神社が多く、棒状の方が長持ちして縄が切れても危険が少ないからなのかなと思いました。

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過疎地の神社あるあるで、社務所自治会館が同じ建物になっています。こうすることで神社から人の目と手が離れることが防げます。とは言え、石神社はかつては二俣尾村の総鎮守として村社に列せられていました。奈良の石上神宮から勧請した神社だという伝承です。石上神宮物部氏の総氏神として知られる日本屈指の古社で、石神社も石上明神と称していたそうですが、間違えて石上が石神になっちゃったそうです。

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本殿の右側のいちょうの木は、青梅市の天然記念物に指定されています。石神社は前回訪れた青梅山金剛寺別当寺で、末寺の泉蔵院と正明院が隔年で奉仕したそうです。奈良の石上神宮物部氏ですから武を司る神社で、布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)という神剣「布都御魂(ふつのみたま)」に宿る霊威が御祭神です。一方、石神社の御祭神は磐長比売命(いわながひめのみこと)なので、本当に関係あるのでしょうか? と思ってしまいますが、歴史の変遷は計り知れないものです。磐長比売命は先ほど訪れた和田乃神社の御祭神でも登場した、大山祇神の娘です。妹の木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の方が有名ですね。姉妹揃って天孫降臨邇邇芸命(ににぎのみこと)に嫁入りしたのですが、姉の磐長比売命だけがブサイクという理由で父の元に突き返されたという、とんでもない伝承をもつ神です。

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境内社が二社あります。八雲神社愛宕神社です。自治会館と児童公園と共生しながら、二俣尾の人々に愛されて、いつまでも存続して欲しいと思います。

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海から66kmは好文橋です。好文橋は歩行者専用の橋で、車両は通れません。

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このあたりは淵というのか、多摩川の流れが大きくぐにゃっと曲がっています。目の前は石神温泉の宿泊施設です。

多摩川左岸巡礼84番:八幡大神

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好文橋の袂に、八幡大神が祀られています。建物は新しいですが、昔から人々に親しまれてきた神様が祀られている模様。八幡大神というからには、誉田別命こと応神天皇に対する信仰です。

多摩川左岸巡礼85番:真言宗豊山派 正明院

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青梅街道と多摩川の間の集落を歩きます。JR青梅線石神前駅二俣尾駅の間の町です。ここにある正明寺は、そもそも青梅の金剛寺の末寺だったそうです。先ほど訪れた石神社に隔年で奉仕していたという寺院です。門が閉じられていたので、外から手を合わせました。

多摩川左岸巡礼86番:稲荷神社

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正明院からほど近い場所に、稲荷社が祀られています。ひとつの祠の中にふたつのお社があります。鳥居は朱塗りではなく生成りの鳥居で、私好みです。台座に載ったお狐様も立派で、住宅地にある稲荷社にしてはかなりきちんとしています。

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海から67.2km、奥多摩橋です。青梅市街地を過ぎたあたりから、多摩川左岸は青梅街道、右岸は吉野街道が多摩川を挟むように並走しています。

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高くて怖いです。若い頃はこういうの全然平気だったのですが、歳を取ると運動神経や反射神経が衰えるからなのか、高い場所が怖くなってしまいます。

多摩川左岸巡礼87番:曹洞宗 海禅寺

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青梅街道沿いに現れたこちらの門は一体何なのか。「不許葷酒入山門」と書かれています。これは「葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず」と、漢文調に読みます。葷酒の葷は五葷または五辛と言って、ニラ、葱、ニンニク、生姜、らっきょうの類、匂いのキツい食べ物のことです。食べ物やお酒の臭いをさせて寺に入ってはいけませんという意味で、禅宗の寺院によく見られるものです。

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すごく立派な門で、訪れる人々を圧倒します。海禅寺の創建は寛正年間(1460-1465年)、益芝永謙という僧が長勝庵という草庵を結び、自身の師匠である雙林寺二世一州正伊を開山の祖として、自分は二世を名乗りました。雙林寺は群馬県にある曹洞宗寺院で、末寺769ヶ寺というすごいお寺です。海禅寺も、江戸時代には42ヶ寺の末寺を持つ寺院でした。

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本堂は禅宗らしい佇まいです。煩悩だらけの身をなるべく清浄にと意識して、お参りさせていただきました。そんな海禅寺ですが、元々は長勝山福禅寺と称していましたが、徳川家康からいただいた御朱印状に書き間違いがあって、海禅寺となってしまったそうです。お館様こそ正義なのです。

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鐘楼も立派です。奥多摩の地域を治めていた三田氏の菩提寺となっていたそうで、天皇の勅願所に列せられていたこともあり、当時の隆盛いかばかりと拝察できますが、現在は静かに鎮座されています。訪れる方は結構多いようで、私の他にも数名が拝観していました。

多摩川左岸巡礼88番:曹洞宗 長泉院

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海禅寺の末寺で海禅寺三世の雪庵寿欽が創建した寺院です。おそらく無住状態になっていそうです。墓地が小さいです。このまま廃寺になっていくのかというと、そうはならないと思います。おそらくは海禅寺か関係の寺院が運営を兼務するのがありがちな未来ですが、どうなっていくでしょうか。

多摩川左岸巡礼89番:神明神社

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見た目ではわかりませんが神明神社です。JR二俣尾駅の南側にありました。四国のお遍路ならここで終了ですね。近くには土地の持ち主の方のものと思われる墓地があったので、この神明神社も同じ家の方々の敷地内の神様だと思われます。

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JR軍畑駅までは割と近くて、軍畑大橋の袂に軍畑の渡し跡がありました。説明文によると、秩父と鎌倉を結ぶ道がここで多摩川を渡っていたそうです。水量の多い時期限定で渡し船を出していたそうです。

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軍畑大橋から河原に降りることができました。この辺りになると、釣りをする人が多いのかなと思います。

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軍畑から青梅街道沿いを歩いて、一本山側の道に入りますと、このように踏切があってJR青梅線を超えることができます。

多摩川左岸巡礼90番:澤井薬師堂

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踏切の向こうに何があるのかと言いますと、薬師堂がひとつあるだけです。わざわざこのために踏切を設けているのですね。この薬師堂は、創建は不詳ですが、多摩川より引き上げられた薬師如来像を本尊としているお堂です。

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瑠璃閣という扁額が掲げられています。古くから親しまれてきた薬師様ですが、寛保二年(1742年)に現:小澤酒造の当家であります小澤家の小澤太兵衛がお堂を再建します。明治時代は澤井駅の近くにある運慶院が管理していたそうです。私の他には誰もいませんでしたが、この薬師様に手を合わせたのは、私で何人目でしょうか?

多摩川左岸巡礼91番:青梅 澤井 祠

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薬師堂へ上る道を歩いていると、突如として祠に出会いました。仏教的です。お地蔵様のように見受けられました。

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清酒澤乃井で有名な小澤酒造さんです。このJR澤井駅周辺は、JR青梅線の、いわゆるアドベンチャーラインの中でも屈指の観光スポットとなっています。清流ガーデン「澤乃井園」というテーマパークになっていて、何度か訪れたことがありますが、いつもすごく人が多くて賑わっています。出来上がっているものを評価するのは簡単ですが、多摩川があり、山があり、自然があり酒蔵がある。そこに人々を楽しませる何かをゼロから創り出すというのは難しいものです。この清流ガーデン「澤乃井園」は、まさに全てが融合した楽しさ満載で、それでいてゴテゴテしてなくて自然に融合している、本当に微妙なハイセンスの領域を得ている場所なのです。

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こちらは書家の田口米舫さんと小澤酒造さんが建立した寒山寺という寺院です。中国の寺院から本尊を頂いているそうです。多摩川右岸なので、巡礼に数えないでおきますが、お参りさせていただきました。この( ↑ )鐘楼はいつでも誰でも突いて良いものですので、観光客が列を作って、写真撮影しながら叩いています。

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こちらは寒山寺のお堂です。中には仏像と資料が飾られています。

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寒山寺のお堂から楓橋と澤乃井園を見るとこんな感じです。橋の上は記念撮影する人がたくさんいます。ちょうど澤井駅を挟んで軍畑駅から御嶽駅までは多摩川沿いに遊歩道が整備されていて、清流を散策する人たちの拠点になっています。私はお酒を飲まないのですが、お酒の好きな方は訪れる価値があると思いますよ。

多摩川左岸巡礼92番:澤井八雲神社

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テーマパーク「澤乃井園」の賑わいを後に、人々の生活圏に再び足を踏み入れた辺りに、澤井八雲神社がありました。こちらも児童公園とセットになっている神社です。八雲神社なので、元々は祇園信仰牛頭天王を祀る天王社で、沢井村の総鎮守だったそうです。

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この神社の祭礼では獅子舞が有名だそうで、東京都の無形民俗文化財に指定されているそうです。山梨県丹波山村という地域にこの澤井の獅子舞を伝授したそうですが、澤井の獅子舞が途絶えてしまい、丹波山村から再伝授されて復興したという歴史があるそうです。

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青梅街道をてくてく歩き、鵜の瀬橋に到着しました。ここはトイレがあったり、広場やベンチもあって、少し寛げる空間となっています。おにぎりなど頬張りながら、私もここでひと休みです。紅葉がきれいで、大きな岩とぶつかりながら川が流れていく音が気持を落ち着けて、心地よい時間が流れるのでした。