寺社探訪

寺社探訪とコラム

日蓮宗 妙法寺

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妙法寺  目次

名称・寺格

日圓山 妙法寺と称します。日蓮宗の本山(由緒寺院)という位置づけです。

創建

元和年間(1615-1624年)に日逕上人が母親の日圓上人の菩提のために、真言宗の尼寺を日蓮宗に改宗しました。この時を創建とし、開祖は日圓上人、日逕上人は第2祖となっています。

本尊

三宝尊

ご利益

各種ご祈願を受け付けていますが、とにかく厄除けで有名です。

みどころ

厄除けが有名で多くの方が厄除けに訪れています。地元商店街と共存共栄している日蓮宗本山寺院で、縁日など様々なイベントが行われています。また、多くの僧侶が学んでいる寺院です。

アクセス

東京都杉並区堀ノ内3-48-8

東京メトロ丸ノ内線新高円寺」「東高円寺」徒歩15分ほど

探訪レポート

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立派な仁王門があります。訪問した日が妙法寺の縁日だったので、朝早かったのですが境内には人がたくさんいました。門前には骨董市やテキ屋さんの屋台が準備されているところでした。お寺の北側から歩いてきたのですが、お寺の一番北側に、日蓮宗立堀ノ内学寮という建物があり、お坊さんたちの読経の声が聞こえていました。

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手水舎に柄杓が戻っています。緊急事態宣言が明けて、徐々に元に戻りつつあるのでしょうか。それはともかく、こちらの手水舎は地面が傾いているのか、水槽を担いでいる人、左の人だけびしょ濡れで苔が生えています。なんか、不平等で気の毒に思いました。

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山門を抜けて左側に額堂という塀のような建物があります。ここにベンチが用意されていて、座ってゆっくりすることができます。既に何人かの方が座っていました。こういう場所があると、寺社見物がぐっと深みが増します。ただ堂宇を観て回り、本尊に手を合わせるということの他に、静かに座ってモノを思いつつ時間を過ごす、という静止する時間が生まれます。築地本願寺を訪れたとき、本堂で観た光景がまさにこの通りで、ただ座って時間を過ごしている人がたくさんいました。

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さて、縁日なので、団体で訪問している信徒さんもいました。妙法寺の法被を着た人が、忙しそうに右往左往していました。きっと縁日の法要の時間に合わせて参加者を案内するのに一生懸命なのでしょう。集まった人に声をかけながら走り回っていて、予定の人が揃っているか確認していました。

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こちらは祖師堂と言います。祖師、つまり日蓮上人像を安置しています。この祖師像は妙法寺に由緒に深く関わっていて、開山した当初は、妙法寺は碑文谷法華寺の末寺でした。それが総本山である身延山久遠寺の直末寺に昇格し、碑文谷法華寺は逆に幕府から弾圧されて天台宗の寺院に改宗しています。このころに碑文谷法華寺にあった祖師像を妙法寺が譲り受け、その祖師像が厄除けに非常にご利益を発揮すると多くの人が参拝するようになったのです。ですので、妙法寺で行われる厄除けなどの各種祈願は、この祖師堂で行われています。

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山門の左側にもう1つの門、鉄門があります。こちらは見るからにデザインが近代西洋風です。というのも、こちらは、鹿鳴館や上野の国立博物館ニコライ堂を設計したイギリスのJ・コンドル博士の設計だそうです。西洋建築と寺院のマッチングですが、違和感よりも格好良さが先に立つ素晴らしい作品ですね。

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祖師堂を正面に見て、右に手水舎、左に鐘楼という配置です。亨保10年(1725年)に鋳造されたそうです。縁日のお参りを見て、これだけ地域や檀家さんがしっかりと信仰している寺院ですから、大晦日の鐘つきも賑わうんだろうなと思いました。実は訪問した日の翌日に千日紅市というイベントが行われることになっていました。千日紅というのは花の名前なのですが、門前の商店街の皆さんがグループを作って、商店街の活気を取り戻そうと、妙法寺や杉並区を巻き込んだイベントを主催しているようです。

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この廊下は、鉄門奥の書院と祖師堂を結ぶ渡り廊下になっています。妙法寺の面白い造りは、この写真の右下あたり、頭上注意と書かれた廊下の下を通って、本堂へ向かうことです。

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ということで本堂と祖師堂も渡り廊下で繋がっています。建物と渡り廊下に囲まれた不思議な空間になっています。本堂には三宝尊が安置されていますが、祖師像も安置されています。日蓮系の宗派では、日蓮自身が信仰の対象として位置づけられていますね。

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こちらは日朝堂です。以前訪問した池上本門寺にも日朝堂がありました。日朝堂は、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺の第11世の日朝上人にあやかって名付けられたお堂です。日朝上人は特に学匠として高名だったそうです。ところが勉強大好きすぎて目を患ってしまうのです。しかし信仰の力で失明かと思われた目の病を治してしまいます。このことから学業成就や眼病平癒のご利益があるとされています。

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こちらは二十三夜堂です。二十三夜とは月を神格化した「二十三夜尊大月天王」という神を祀っているお堂です。毎月23日のみこのお堂を開帳して信徒さんたちのお参りを受けるのですが、この日はたまたま年に一度の二十三夜尊大祭の日で、多くの門徒さんが訪れていました。二十三夜堂の奥に見えているのが浄行堂で、浄行菩薩像があり、皆さん並んで、柄杓を持って菩薩像に水をかけていました。そうすることで病気平癒、家内安全のご利益を得られるそうです。

妙法寺界隈は、日蓮宗のお寺を始め、いくつかの寺院が密集しているエリアでもあります。また、私のような葬儀業界の者にとっては、堀ノ内斎場や妙法寺堀ノ内静堂といった火葬場や葬儀式場があるエリアでもあります。水道道路を抜け道に使うことも多くて、妙法寺の前は比較的よく通りますが、今回初めて境内をじっくり見学してみました。有名な観光寺院では、観光客とお寺と門前町からお寺を支える人たちがいます。ここ妙法寺では、門前の商店街が年々活気を失っていくことに、ただ黙って身を任せているだけではなく、能動的なプロジェクトで発展するのだという気概が素晴らしいです。その明るい努力が実を結ぶことを期待してしまいます。


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