寺社探訪

寺社探訪とコラム

東郷神社

靖国神社明治神宮に続いて、歴史上の人物を祀った神社のご紹介です。原宿のど真ん中にある東郷神社の御祭神は東郷平八郎です。明治から昭和初期にかけて活躍した海軍大将です。一番の実績は、日露戦争において、日本の連合艦隊司令長官として、世界最強と言われていたロシアのバルチック艦隊を打ち破って、日本を勝利に導いたことです。

f:id:salicat:20210717001905j:plain表参道から神宮前の交差点を左折し竹下通りを過ぎると、参道の入り口に なります。大きなビルに囲まれた入口ですが、敷地はかなり広々としています。エンジ色の一之鳥居がとてもカッコいいです。参道のほとりにはかなり大きな池があって、緑と水を眺めながらゆっくり散歩ができるようになっています。

f:id:salicat:20210717002012j:plain日露戦争で東洋の小国が大国ロシアを破ったことは、日本国内のみならず、植民地支配を受けていたアジアの国々にとって大きな希望となったことでしょう。また、未来においてもその功績は光り輝いて、日本軍最大最高の出来事だったのではないでしょうか。東郷平八郎は英雄となり、その後の太平洋戦争でも、「あのバルチック艦隊を破った無敵の連合艦隊」という幻想を抱いて、多くの若者が散っていったのだと思います。

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 この階段を上り切ったところで参道は終わりなのですが、入口からここまで、コロナ感染拡大防止のために立入禁止になっていました。ちなみに写真(↑)の両側にいるのは、狛犬ではなく、獅子(ライオン)だそうです。この獅子像は、築地にあった有栖川宮威仁親王銅像の台座の四隅にあったものが東郷神社に下賜されたのだそうです。以前当ブログの谷保天満宮の回で紹介した、日本初のドライブツアーを行った宮様です。

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参道が終わり、少し広いエリアに出ます。神門の手前に手水舎がありますが、コロナ対策のために柄杓は置かれていません。東郷神社の境内の隣には東郷幼稚園があります。東郷神社が運営している 幼稚園ですが、こんな原宿のど真ん中に住むと、感覚がすごく偏りそうです。幼稚園がある西門を出ると竹下通りのど真ん中ですから、文化的な子に育つ気がしますね。

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建物はとても綺麗で、掃除も行き届いています。そもそも昭和になって亡くなった人を祀った神社ですから歴史は浅いのですが、先の大戦東京大空襲で一度焼失して、昭和39年(1964年)に再建築されています。

f:id:salicat:20210717002614j:plain戦争を最悪だと教えられ、戦争に勝つという経験のない現代日本人には、わからない感覚なのですが、当時の日本は日露戦争に勝ったことで国際的地位が飛躍的に上がったようです。国民的英雄となった東郷平八郎は、昭和9年に86歳で病死します。国葬が行われ、世界各国から海軍関係の将校が参列したそうです。東郷元帥の活躍で戦争に勝った日本は、世界の五大国として認められていたのです。そしてここから、東郷平八郎の神格化が始まります。実は東郷元帥本人は、自分の死後、神として神社に祀るのはやめてほしいと頼んでいたそうです。現代のお葬式もそうですが、結局は残った人たちのやりたいようにされてしまいます。

f:id:salicat:20210717002823j:plain  さて、こちらは祖霊社だそうです。海軍に因んで、海の宮と名付けられています。祖霊社というのは、亡くなった人をお祀りするための建物ですが、お祀りしているご祭神は、海軍、海事、水産関係者、または崇敬者の諸霊となっています。崇敬者の諸霊が含まれているので、結局、心ある人は受け入れてもらえそうです。海の仕事に携わってきて、特定の宗教を重んじない人などは、ここに神として祀ってもらいたい人もいらっしゃるでしょうね。細かいことは分かりませんが、合祀する費用が30万円より、式年祭、慰霊祭など10万円より受け付けてくれるそうです。当ブログで紹介している永代供養塔の神道版のようですが、神道ですので、墓地は付属していません。墓地は他所に求める必要があります。ちなみに東郷平八郎の墓は府中市多磨霊園にあります。東郷元帥自身は青山墓地を希望したそうですが、亡くなった後のことは、残った人が決めるの法則ですね。おかげで多磨霊園は一気に人気が上がったそうです。アクセスのとても良い神社ですので、負けられない戦いを抱えている方は、一度東郷元帥をお参りしてみてはいかがでしょうか。 

 

名称東郷神社

住所:東京都渋谷区神宮前1-5-3

創建昭和15年 (1940年)

社格:府社

主な祭神東郷平八郎

メモ日本海軍元帥、日露戦争の英雄